「ずがいないけっしゅ」ともよむ。外傷性、高血圧性、特発性に頭蓋内にみられる塊状出血をいう。血腫の形成部位により、硬膜外血腫(頭蓋骨と硬膜の間)、硬膜下血腫(硬膜とくも膜の間)、くも膜下出血(くも膜と脳軟膜の間)および脳内血腫、脳室内出血に分けられる。出血原因としては頭部外傷をはじめ、高血圧症や破裂脳動脈瘤(りゅう)のほか、出血傾向を示す白血病、ビタミンK欠乏症、代謝性疾患などがあげられる。頭蓋内に血腫が形成されると、頭蓋内圧が亢進(こうしん)して頭痛、嘔吐(おうと)、瞳孔(どうこう)不同、意識障害、運動麻痺(まひ)などがみられ、放置すると脳ヘルニアをおこして死亡する。診断にはCT(コンピュータ断層撮影法)、MRI(磁気共鳴映像法magnetic resonance imagingの略称)が有効で、血腫の発生原因の診断には脳血管撮影が必要である。治療としては血腫除去術が行われるが、破裂脳動脈瘤による場合は脳動脈瘤柄クリッピング、コイルによる塞栓(そくせん)術、また脳動静脈奇形では摘出術、ガンマナイフなどが行われる。
[加川瑞夫]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…頭蓋と硬膜の間に発生する急性頭蓋内血腫の一種(急性頭蓋内血腫は発生部位によって硬膜外血腫,硬膜下血腫,脳内血腫の3種に分類される)。硬膜外血腫は強い頭部打撲によることが多く,頭蓋骨折により硬膜動脈または頭蓋静脈洞が断裂したために生ずる。…
※「頭蓋内血腫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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