頭頸部癌(読み)とうけいぶがん

百科事典マイペディア 「頭頸部癌」の意味・わかりやすい解説

頭頸部癌【とうけいぶがん】

首から上の部分で,脳を除いたところにできる(がん)のこと。咽頭癌,口腔癌舌癌,歯肉癌など),頸部食道癌,鼻腔癌などさまざまな種類があるが,これらを合わせても頭頸部癌は,癌全体の5〜6%しかない。咽頭癌はタバコとの関連が強く,患者の97%は1日20本以上のヘビースモーカーである。舌癌は,虫歯の慢性的な刺激が一因といわれている。 手術では舌,歯茎,喉など顔の内側を切除するため,食事をしたり声を出すといった生活に欠かせない機能や感覚が損なわれやすく,また,顔面変形といった障害も残るため,癌のなかでもQOLクオリティ・オブ・ライフ)が著しく損なわれるものの一つである。 このため,いかに身体機能を温存する治療法をとるかが重要になる。切らないですむ放射線治療のメリットは大きいが,その反面,照射部位によっては唾液分泌が妨げられ,喉が渇くなどの後遺症を伴う恐れがある。 身体機能を補うために,形成外科と協力した手術も行われる。頬の奥で癌が進行し,顔面の半分を取り除く手術や,舌癌で舌を全摘出する場合には,腕や腹の皮膚を使って顔や舌などをつくり直す。さらに,咽頭癌で声帯を失ったり,口腔癌で舌や歯・歯茎を手術した後は,根気強いリハビリテーションで,ある程度の機能を回復することもできる。

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