クオリティ・オブ・ライフ(読み)くおりてぃおぶらいふ(英語表記)quality of life

翻訳|quality of life

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

クオリティ・オブ・ライフ
くおりてぃおぶらいふ
quality of life

どれだけ人間的な豊かな生活ができるかを重視する考え方。qualityは質、lifeは生命・生活を意味し、「生活の質」、または「生命の質」と訳される。略称QOL

 医療は命を助けることが重要な目的ではあるが、そのかわりに機能を失う場合がある。治療により、歩行、食事、入浴、排便などの日常生活が普通にできなくなることがある。これらの日常生活動作をADL(activities of daily living)とよぶ。欧米では1950年代から医療によるADL低下に関心が高まってきたが、1960年代には癌(がん)や高血圧症で、精神面も含めた広い分野の影響が重視され、QOLという言葉が広がった。失禁の不安で外出できない、著しい変形で人前に出たくない、薬の副作用で寝たきりになる、神経切断により後遺症がある、などは明らかにQOLの低下とみなされる。逆に、乳癌(がん)の乳房温存手術開腹をしない傷の小さな腹腔(ふくくう)鏡下手術、前立腺(せん)癌の放射線小線源療法、形成外科的な機能再建手術などはQOLを高める治療である。

 治らない癌や難病などの延命治療も、QOLの観点から議論になっている。近年、QOLは、身体的な機能だけでなく、生きがい幸福感など精神的な充実も含めた概念になっている。

田辺 功]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

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