舌癌(読み)ゼツガン(英語表記)cancer of the tongue

デジタル大辞泉 「舌癌」の意味・読み・例文・類語

ぜつ‐がん【舌×癌】

舌にできる癌。合わない義歯・金属冠虫歯のとがった部分刺激誘因となる。

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精選版 日本国語大辞典 「舌癌」の意味・読み・例文・類語

ぜつ‐がん【舌癌】

  1. 〘 名詞 〙 舌にできる癌腫口腔粘膜に発生する口腔癌のうち、最も多い。普通舌縁から舌下面にできる。はじめは痛みはなく厚ぼったい感じがするだけだが、次第に硬いしこりとなり、潰瘍になる。〔医語類聚(1872)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「舌癌」の意味・わかりやすい解説

舌癌 (ぜつがん)
cancer of the tongue

口腔癌の一種で,舌にできる癌。最近歯肉癌より多い傾向にあり,50~60歳代のいわゆる癌年齢に多発するが,20~30歳代にもみられる。臼歯部に相当する舌の辺縁から下面にかけて多く,舌尖や舌背には少ない。最初,痛みのないはれや潰瘍に気づく場合が多いが,舌の運動障害や違和感により発見されることもある。やがて,痛みが強くなり,発音・咀嚼(そしやく)・嚥下障害が増してくる。

 肉眼的に膨隆(腫瘤)型,潰瘍型,肉芽型,白板型,乳頭型,糜爛(びらん)型がみられ,潰瘍型,膨隆型,肉芽型が多い。病変の周囲に硬結(しこり)があるのが特徴である。膨隆型もやがて中央部に潰瘍を形成して噴火口状となり,灰白色の汚い壊死組織で覆われ,悪臭がある。早期にかつ高率に顎下ならびに上深頸リンパ節に転移するので,その転移の有無は舌癌の治療や予後に重要な関係がある。虫歯,補綴物などの慢性刺激により起こる褥瘡(じよくそう)性潰瘍との鑑別がたいせつで,刺激を除去してもなお1週間を経ても治癒しない場合には癌を疑い,生検により確定診断を行う。

 治療は,従来から外科的切除放射線療法が行われており,舌の原発巣に対してラジウム針,金198 198Auグレイン,イリジウムなどの組織内照射を行い,頸部リンパ節の転移腫瘍に対しては根本的頸部郭清術が行われる。そのほか,ブレオマイシン,5-フルオロウラシル5-FU)などの抗癌剤の局所動脈内注射,筋肉内・静脈内注射などの全身投与の併用療法が行われる。5年累積生存率は,stage Ⅰ 92.9%,stage Ⅱ 74.9%,stage Ⅲ 58.6%,stage Ⅳ 42.9%,全体では74.9%である(東京医科歯科大,1978-85年の舌癌136例,1988)。
口腔癌
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「舌癌」の意味・わかりやすい解説

舌癌
ぜつがん

舌に発生する癌腫(がんしゅ)をいい、口腔(こうくう)癌のなかでは、もっとも頻度が高い。年齢別では50~60歳代に多く、性差では男性が女性の2倍多い。好発部位は側縁部で、初期には自覚的には口内炎と似た症状のことが多いが、進行すると深い潰瘍(かいよう)や、硬い膨隆を形成する。早期にリンパ節転移をきたすことが多い。治療は外科的切除、放射線療法、抗癌剤による化学療法の単独または併用療法が行われる。

[池内 忍]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「舌癌」の意味・わかりやすい解説

舌癌
ぜつがん
carcinoma of the tongue

舌に発生する癌腫をいい,口腔癌のなかで最も多い。一般に舌の前方 3分の2の部分に生じるものをさし,その奥の,口腔内から見えない部分のものは特に舌根部癌という。中年以上に多く,男性は女性の約 2倍である。ほとんどが側縁部に発生する。不適合な義歯や充填物,う蝕(虫歯)の鋭い辺縁などによる慢性の刺激が誘因となる場合がある。潰瘍と,それを取巻く堤防状の硬い部分があるものが多いが,きのこ状に盛上がるものもある。周囲に広がると,口腔底や下顎骨に侵入する。しばしば癌細胞がリンパ管を伝わって顎下部や頸部のリンパ節に転移し,また,血液中を流れて肺や肝臓に遠隔転移する。治療は,手術,放射線照射,制癌剤を併用して行い,リンパ節転移には頸部郭清術を行う。遠隔転移のある場合は予後が悪い。舌根部癌は発見が遅れやすく,治療も困難である。

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百科事典マイペディア 「舌癌」の意味・わかりやすい解説

舌癌【ぜつがん】

舌に発生する癌。男性(特に40歳以上)に多く女性には少ない。舌の側縁の表面に好発し潰瘍(かいよう)を形成したり,腫瘤(しゅりゅう)が生じたり,ザラザラした白斑が生じたりする。早期に切除あるいは放射線治療を行う。頸部あるいは顎下リンパ節に転移しやすく予後不良。
→関連項目口腔癌

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