頼清徳(読み)らいせいとく(その他表記)Lai Ching-te

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「頼清徳」の意味・わかりやすい解説

頼清徳
らいせいとく
Lai Ching-te

[生]1959.10.6. 台北万里
タイワン(台湾)の医師,政治家。英語名ウィリアム・ライ William Lai。総統在任 2024~ )。台湾の主権を声高に訴え,貧困のなかから台湾の政治の中枢まで上りつめた人物として知られる。立法委員(国会議員に相当。1999~2010),タイナン(台南)市長(2010~17),行政院長(首相に相当。2017~19),副総統(2020~24)を歴任
父が炭鉱労働者という家庭の 6人きょうだいの第五子としてタイペイ(台北)県(現在のシンペイ〈新北〉市)のワンリ(万里)に生まれ,2歳のときに父が炭鉱事故で死亡,母一人に育てられた。1983年に国立台湾大学の理学療法・リハビリテーション学科,1991年に国立成功大学医学部を卒業。1994年,台南省庁選挙で民主進歩党民進党)候補者の台南市医師後援会会長を務め,初めて政治に関与する。1996年の台湾海峡危機を契機政界入りし,国民大会(国大)代表となる。1998年,台南市の選挙区から立法委員選挙に出馬して当選し,以後 2010年まで 4期連続当選を果たす。立法院では台湾の世界保健機関 WHO入りをアメリカ合衆国や日本に働きかけるなど,医療問題や社会福祉に取り組むかたわら,2003年にはハーバード大学で公衆衛生の修士号を獲得した。2010~17年に台南市長を務め,2014年に再選された際には約 73%を得票し,1987年の戒厳令解除後の地方選挙において最高の得票率を記録した。市長時代は,日本との交流計画や姉妹都市協定,アメリカの政府関係者との安全保障をめぐる協議に臨んだ。2017年に行政院長に選出されたものの,翌 2018年11月の統一地方選挙で民進党が大敗したため,2019年初に辞任した。2019年の総統予備選挙では現職蔡英文に挑戦し敗れたが副総統候補として招かれ,蔡総統再選に伴い 2020年5月に副総統に就任。2023年1月には民進党主席に選出された。
2024年1月13日,副総統候補の蕭美琴とともに総統選挙に挑み約 40%を得票,中国国民党(国民党)の侯友宜ら対立候補を破って当選した。5月20日の就任演説で頼総統は中国との平和を維持する一方で,民主主義諸国との関係を深め,防衛力を強化していく方針を示した。

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