ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蔡英文」の意味・わかりやすい解説
蔡英文
さいえいぶん
Tsai Ing-wen
タイワン(台湾)の政治家。総統(在任 2016~ ),民主進歩党(民進党)主席(在任 2008~12,2014~18)。裕福な商家の 9人兄弟の末子に生まれ,台湾南部ピントン(屏東)県枋山郷で幼少期を過ごす。のちタイペイ(台北)市に移り,1978年国立台湾大学法学部を卒業。1980年アメリカ合衆国のコーネル大学で法学修士号,1984年イギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで法学博士号を取得。帰国後,2000年まで台北の大学で法律を講じた。1990年代初め,李登輝政権の通商政策顧問に就任し政界入り。在任中,台湾の世界貿易機関 WTO加盟に向けた交渉において重要な役割を果たした。2000年,民進党の陳水扁政権下で,対中政策を担う大陸委員会の主任委員に任命された。2004年民進党に入党し,立法院委員に当選。2006~07年行政院副院長。2008年民進党が総統選挙に敗れたあと,同党初の女性主席に選出され,2010年再選された。同 2010年のシンペイ(新北)市長選挙で中国国民党公認候補の朱立倫に敗れ,2012年の総統選挙でも現職だった中国国民党の馬英九に敗れ落選。2016年1月の総統選挙で,中国国民党による親中政策の是非と長引く不況を争点に選挙戦を繰り広げ,朱立倫に圧勝。同 2016年5月,中国国民党以外の政党出身者としては 2人目の,またハッカ(客家)および女性として初の総統に就任した。
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