顎口類(読み)がっこうるい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「顎口類」の意味・わかりやすい解説

顎口類
がっこうるい
[学] Gnathostomata

脊索(せきさく)動物門Chordata、脊椎(せきつい)動物亜門Vertebrataあるいは頭蓋(とうがい)亜門Craniata、顎口上綱に属する魚類総称あごを有するすべての魚類が含まれ、ヤツメウナギ類やヌタウナギ類などあごをもたない魚類の無顎上綱Agnathaと区別する。研究者によっては無顎上綱を単一の分類群と認めず、あごのない魚類をヤツメウナギ上綱とヌタウナギ上綱に化石種の5上綱(コノドント上綱Conodonta、翼甲上綱Pteraspidomorphi、欠甲上綱Anaspida、歯鱗(しりん)上綱Thelodonti、骨甲(こっこう)上綱Osteostracomorphi)を加えて7上綱とし、顎口上綱と並立させる見解もある。

[尼岡邦夫 2015年9月15日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の顎口類の言及

【あご(顎)】より

…あごをもつようになった初期の状態を今でも維持しているのが軟骨魚類(サメ,エイなど)である。軟骨魚類以上の脊椎動物はすべてあごを備えているため,無顎類に対して〈顎口類〉と総称される。 脊椎動物の頭部骨格は個体発生的にも系統発生的にもまず軟骨性のものとしてできてくるが,最も原型的な軟骨魚類では,上顎は口蓋方形軟骨,下顎は下顎軟骨という左右1対の骨格を中核とする単純な構造で,歯はこれらの軟骨に生えている。…

【口】より

…半索動物の腸鰓類や原索動物では,口は比較的単純な開口にすぎないが,口に続く咽頭に多数のえら穴が形成されて,食物をこし取るのにも役だっているのが特徴的である。【原田 英司】
【脊椎動物の口】
 脊椎動物では,顎骨つまり口の骨格をもたない無顎類(太古の甲皮類と現存の円口類)と顎口類(顎骨をもつその他すべての脊椎動物)とで,口の特色は著しく異なる。無顎類の口は骨のしんをもたず,上下に開閉することがない。…

【脊椎動物】より

… 最古の脊椎動物はあごのない無顎綱Agnathaのバーケニア目(欠甲類)Birkeniiformes(=Anaspida)で,オルドビス紀後期からデボン紀まで栄えた。残りのものはすべてあごと対鰭(または四肢)を獲得した顎口類Gnathostomataに属し,オルドビス紀中期に無顎類から分かれたと推定されている。この類で最古のものはシルル紀後期に現れ二畳紀まで栄えた板皮類(綱)Placodermiで,これから最初に分かれた(オルドビス紀後期)のが軟骨魚類Chondrichthyesと推定されているが,これの化石は,やはり板皮綱から分かれデボン紀前期に現れた硬骨魚類Osteichthyesよりも後のデボン紀中期にならないと姿を見せない。…

【頭骨】より

…左右両側を合わせた要素骨の数は,絶滅した種類も含めて硬骨魚類では180~100個,両生類では95~50個(現存のものでは少ない),爬虫類では80~50個といわれ,哺乳類ではその約半数,ヒトなど高等霊長類では二十数個となっている。軟骨性でも骨性でも無顎類の頭骨の機能は脳や感覚器の容器にすぎないのに対し,顎口類(下あごをもつ脊椎動物)のそれは,外敵や食物にかみつき,かみ切り,咀嚼(そしやく)するなど食物を積極的に取りこむ装置としての機械的機能をも備えている。それに適応して,上あご,下あごのさまざまな皮骨性要素(哺乳類では上あごの前顎骨すなわち切歯骨と上顎骨,下あごの歯骨すなわち下顎骨)がさまざまに分化した歯を備えている。…

※「顎口類」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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