条鰭類(読み)ジョウキルイ

デジタル大辞泉 「条鰭類」の意味・読み・例文・類語

じょうき‐るい〔デウキ‐〕【条×鰭類】

硬骨魚類うちシーラカンスハイギョなど肉鰭類を除く一群シルル紀後期に出現し、海水・淡水を問わず現生魚類大部分を占める。骨格硬骨からなり、多く軟条に支えられたひれ浮き袋をもつ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「条鰭類」の意味・わかりやすい解説

条鰭類
じょうきるい
[学] Actinopterygii

脊索(せきさく)動物門Chordata、硬骨魚綱Osteichthyes、条鰭亜綱に属する魚類の総称。シーラカンス類と肺魚類を含む肉鰭(にくき)類Sarcopterygiiを除く硬骨魚類で、現生の魚類の大部分を占める。硬骨魚綱を使わずに条鰭綱とする説もある。魚類として進化の主流にあるグループで、古い形質を保有する一部の魚類を除くと、われわれになじみ深い普通の魚類の大部分を占める。背骨などがよく硬骨化していること、肺は不完全か退化してうきぶくろとなること、各ひれに棘(とげ)または軟条がよく発達すること、心臓は心臓球が退化し、動脈球が発達すること、尾びれが正尾(せいび)であることなどが特徴。卵は小さく、卵生が大部分である。中生代の終わりから新生代にかけて大いに栄え、海洋での生活に適した方向へ進化した。

 この類は軟質類Chondrostei、腕鰭類Cladistia、新鰭類Neopterygiiに大別される。このうち前二者は中生代の終わりごろに勢力を失った。現存するチョウザメ類は軟質類の、ポリプテルス類(多鰭類)は腕鰭類の、また以前、全骨類にまとめられていたアミアガーパイクは新鰭類のなかに入れられ、いずれも数少ない生き残りである。残りの新鰭類は真骨類Teleosteiで、1億年余り前から栄えだし、現在、進化の頂点にある。一般になじみの深いイワシ、サケコイ、タラ、タイ、アンコウ、フグ、ヒラメ・カレイ、カサゴ、スズキ、カツオ、マグロの種類はすべて真骨類に属し、種類数は2万6840種を含む。現存する魚類の96%を占め、水産上重要な種類はほとんど真骨類に含まれる。

[落合 明・尼岡邦夫 2015年1月20日]

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改訂新版 世界大百科事典 「条鰭類」の意味・わかりやすい解説

条鰭類 (じょうきるい)

硬骨魚類の1亜綱Actinopterygii。条鰭亜綱はさらに原始的な順に軟質類Chondrostei,全骨類Holostei,真骨類Teleosteiの三つの上目に分けられる。胸びれの鰭条は射出骨を介して肩帯の烏口(うこう)骨や肩甲骨に付着する。うろこは真骨類ではうすく,円鱗や櫛鱗(しつりん)であるが,全骨類や軟質類では硬鱗のガノイン鱗である。鼻孔は頭の片側に原則として2個ずつある。条鰭類はきわめて多様性に富み,全種に共通する形質を挙げることは不可能に近い。軟質類から全骨類,真骨類と進化が進むにつれて,うろこなど外部の覆いはうすく軽くなり,逆に脊椎骨などの内部骨格は化骨が進んで強くなった。現在は真骨類が最も繁栄しており,種数では全魚類の90%以上に達している。一方,原始的な軟質類は十数種ほどのチョウザメ類を残し,また全骨類は北アメリカ大陸のアミアAmiaとレピゾステウスLepisosteus数種を残して絶滅した。ポリプテルスPolypterus類(多鰭類)は軟質類の一群とされたこともあったが,現在では別の独立した亜綱に入れられることが多い。
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