飛鳥の(読み)とぶとりの

精選版 日本国語大辞典 「飛鳥の」の意味・読み・例文・類語

とぶとり‐の【飛鳥の】

地名明日香(あすか)」にかかる。天武天皇の時代、赤雉瑞祥にちなんで、年号を「朱鳥(あかみとり)」と改元するとともに、その宮殿「浄御原宮(きよみはらのみや)」を「飛鳥浄御原宮」と呼ぶようにしたので、その所在地の「明日香」の地にも冠せられるようになったもの。
万葉(8C後)一・七八「飛鳥(とぶとりの)明日香の里を置きて去なば君があたりは見えずかもあらむ」
② 飛ぶ鳥のように早くの意で、「早く」にかかる。
※万葉(8C後)六・九七一「冬こもり 春さりゆかば 飛鳥乃(とぶとりノ) 早く来まさね」
[補注](1)①の用法の例は「飛鳥」という表記なので、「とぶとり」と訓む説もある。
(2)①の用法から、地名「あすか」の表記に、この「飛鳥」の文字がそのまま用いられるようにもなった。
(3)「万葉‐三三八一」の「夏麻(なつそ)びくうなひをさして等夫登利乃(トブトリノ)至らむとそよ我が下はへし」は、「至る」にかかる序の一部として用いられている。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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