朱鳥(読み)シュチョウ

デジタル大辞泉 「朱鳥」の意味・読み・例文・類語

しゅちょう〔シユテウ〕【朱鳥】

飛鳥あすか時代、天武天皇晩年の時の年号。686年7月20日改元。同年9月、天皇が没して以後、しばらくして用いられなくなった。すちょう。あかみとり。

あかみとり【朱鳥】

しゅちょう(朱鳥)

すちょう〔ステウ〕【朱鳥】

しゅちょう(朱鳥)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「朱鳥」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐ちょう‥テウ【朱鳥】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙しゅじゃく(朱雀)[ 一 ]
    1. [初出の実例]「四獣 朱鳥 玄武 青龍 白虎 見曲礼。註云。是四方宿名也」(出典:和漢名数(1678)九)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 天武天皇の代の最後の年にたてられた年号。天武一五年(六八六)七月二〇日に改元、同年九月に天皇が没し、以後しばらくして用いられなくなった。私年号として、天武、持統両天皇の代に使用されたことがある。「書紀‐二九」に「朱鳥此云阿訶美苫利」とある。すちょう。あかみとり。
    2. [ 二 ]しゅじゃく(朱雀)[ 二 ][ 一 ]
      1. [初出の実例]「其時の星は朱鳥の星ぞ」(出典:史記抄(1477)三)

あかみとり【朱鳥】

  1. 〘 名詞 〙 ( 朱鳥を訓読したもの、または赤御鳥の意といわれる ) 飛鳥時代、天武天皇の代の年号。天武一五年(六八六赤雉(あかきじ)献上があって七月二〇日改元。同年九月九日、天皇の死去によって「持統」に代わる。しゅちょう。すちょう。

す‐ちょう‥テウ【朱鳥】

  1. 〘 名詞 〙しゅちょう(朱鳥)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本の元号がわかる事典 「朱鳥」の解説

しゅちょう【朱鳥】

日本の元号(年号)。飛鳥時代の686年、天武(てんむ)天皇の代の元号。前元号は白雉(はくち)。次元号は大宝(たいほう)。686年(天武天皇15)7月20日、元号が朱鳥と定められて、32年ぶりに元号の使用が再開された。不祥を祓い天武天皇の病気平癒を願ったものともされているが、改元の理由は不詳。『礼記(らいき)』の「曲礼(きょくらい)」を出典とする命名。同年の天武崩御後、持統(じとう)天皇、文武(もんむ)天皇は改元を行わず、「大宝」までの15年にわたって再び元号は断絶した。しかし、『万葉集(まんようしゅう)』や『日本霊異記(にほんりょういき)』などには朱鳥4年、6~8年の記述が見られ、そのまま朱鳥の元号を用いた文献もある。また、天武天皇の時代の文献には、朱鳥とともに朱雀(すざく)、(しゅじゃく)の元号を用いるものもある。朱雀のように正史に現れない古代元号を逸年号(いつねんごう)というが、朱雀は朱鳥の別称とする説、九州王朝が用いた元号(九州年号)とする異説などがある。なお、朱鳥の元号は、その使用について疑問視する学説もある。◇「すちょう」「あかみとり」とも読む。

あかみとり【朱鳥】

⇒朱鳥(しゅちょう)

すちょう【朱鳥】

⇒朱鳥(しゅちょう)

出典 講談社日本の元号がわかる事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の朱鳥の言及

【元号】より

…大化以前において法隆寺金堂の釈迦三尊像の光背の銘や《伊予国風土記》逸文の道後温泉の碑文などによって法興という年号のあったことが知られるが,これは公式に定められたという徴証がなく,逸年号もしくは広い意味で私年号というべきであろう。650年(大化6)白雉と改元されたが,654年(白雉5)孝徳天皇の没後年号はとだえ,天武天皇の末年に朱鳥の年号が定められたが,これもあとが続かず,701年(文武5)に至り,対馬から金が貢上されたのを機に大宝の年号が建てられた。この建元と同日に新たに制定された令(いわゆる大宝令)の一部が施行された。…

【元号】より

…大化以前において法隆寺金堂の釈迦三尊像の光背の銘や《伊予国風土記》逸文の道後温泉の碑文などによって法興という年号のあったことが知られるが,これは公式に定められたという徴証がなく,逸年号もしくは広い意味で私年号というべきであろう。650年(大化6)白雉と改元されたが,654年(白雉5)孝徳天皇の没後年号はとだえ,天武天皇の末年に朱鳥の年号が定められたが,これもあとが続かず,701年(文武5)に至り,対馬から金が貢上されたのを機に大宝の年号が建てられた。この建元と同日に新たに制定された令(いわゆる大宝令)の一部が施行された。…

【道教】より

… 《万葉集》巻二に載せる,柿本人麻呂の天武の皇太子草壁の死を悼む挽歌に〈飛鳥(とぶとり)の浄(きよみ)の宮に 神ながら太敷きまして 天皇(すめろき)の敷きます国〉と歌って,〈天皇(てんこう)〉の2字の漢語が原文に〈王〉〈大王〉と代わって用いられている。また《日本書紀》の持統紀4年(690)春正月には,神璽の剣鏡を奉上されて天皇の位に即(つ)く,とあって,道教の2種の神器である〈剣鏡〉がそのまま日本国の天皇の神璽とされていること,さらには天武紀の朱鳥1年(686)春正月に,宴をもろもろの王卿に賜っている大極殿の〈大極〉が道教の神学教理で,〈天地の父母,道の奥〉を意味し(《真誥》甄命授),老君すなわち神格化された哲人老子も太極真人とよばれていること(同上。〈大〉と〈太〉は通用。…

※「朱鳥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android