飲細胞活動(読み)いんさいぼうかつどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「飲細胞活動」の意味・わかりやすい解説

飲細胞活動
いんさいぼうかつどう

細胞が細胞外の物質を、細胞膜での浸透能動輸送にはよらず、動的に細胞膜で包み込んで細胞内に取り込む働きを、一般に飲食細胞活動といい、取り込む対象が液状であるときに飲細胞活動、固体であるときに食細胞活動とよぶ。飲細胞活動には外液をそのまま包み込む場合と、取り込む溶質の細胞膜への吸着を利用する場合との二つのタイプがある。細胞膜で包まれ、小胞として取り込まれた物質は細胞内で消化されるが、ふたたび外へ放出されることもある。1931年にルイスW. H. Leuisにより発見されて以来、電子顕微鏡技術の発達に伴って広く研究され、ほとんどすべての細胞でこの種の活動のあることが知られている。白血球大食細胞、毛細血管内壁の細胞、甲状腺(せん)の細胞、発達中の卵細胞などで、この活動がとくに顕著にみられることから、単に細胞の栄養摂取のみならず、生体の防御機構、免疫反応、巨大分子輸送、ホルモンの性質の変化、代謝調節などにも役だつと考えられている。

[竹内重夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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