原子が共有結合によって非常に多数結合した分子。ダイヤモンドは炭素原子から成る巨大分子の代表で,1カラット(0.2g)のダイヤモンドは1021個の炭素原子が規則正しく結合してできた物質である。黒鉛C,水晶(二酸化ケイ素SiO2),炭化ケイ素SiC,窒化ホウ素BNもその構成原子が共有結合した巨大分子である。数百から数万の炭素原子が鎖状に結合してできた炭化水素であるポリエチレンも巨大分子に分類されるが,繊維やゴムなどとともに高分子化合物と呼ばれている。分子の定義を拡張して,ナトリウムイオンと塩化物イオンが多数イオン結合で結ばれた塩化ナトリウム(食塩)結晶や,分子が水素結合によってでき上がっている氷も巨大分子と呼んでいる。さらにケイ酸イオンの(SiO4)4⁻,(Si2O7)6⁻などが無数結合してできた巨大イオンから成るケイ酸塩も巨大分子に含める場合がある。
執筆者:井口 洋夫
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分子量の大きな分子。通常、分子量1万以上のものをさす。
[編集部]
…ウォルムスに生まれ,1903年ハレ大学で学位を得,チューリヒのスイス連邦工科大学(1912‐26),フライブルク大学(1926‐51)の化学教授を歴任,51年高分子研究所長となった。はじめにケテン類の研究で名をなし,次いで行ったイソプレン研究から重合物の構造に関心を深め,1920年ゴム,ポリスチレンなどのポリマーが鎖状の大分子からなると発表,2年後にこれを〈巨大分子Makromolekül〉と名づけた。彼の説は当時支配的だった〈会合体説〉の支持者に反対されたが,論争の末30年代に学界に受け入れられるに至った。…
… メタンCH4の4個の水素原子がすべて炭素原子と結合し,それが何百万個も何千万個も繰り返しつながった分子がダイヤモンドである。したがって,ダイヤモンドは1個の巨大な分子とみなすことができ,とくにこれらを巨大分子ということがある。グラファイトも同様に炭素原子からできた巨大分子である。…
※「巨大分子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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