多孔性の膜や粉体層を通して溶媒(水溶液の場合には水)が濃度差によって移動する現象。たとえばタンパク質のような高分子量の物質を含む水溶液を,セロハン膜のような水を通すが高分子量の物質を通しにくい膜(半透膜)で包み純水中に浸すと,膜の両側の濃度を等しくするように,水が膜を通ってタンパク質水溶液中に入っていく。一般には完全な半透膜は得られないので,水が溶液側に移行するとともに,タンパク質の一部が純水側に移行し,長い時間の後には両側の溶液は均一になる。水の移動を浸透,溶質の移動を透析といい,一般には浸透と透析が同時に起こることが多い。現在,いろいろな孔径をもつ膜がつくられ,種々の大きさの溶質に対する半透膜として利用されている。塩化ナトリウムNaClのような塩類を通さない膜も開発され,このような膜で塩溶液と純水とを仕切ると,浸透によって水が膜を通って塩溶液のほうに移っていく。塩溶液に水の浸透する力(浸透圧)に抗する以上の圧力を加えると,逆に水が塩溶液から膜を通って出ていく。これを逆浸透という。逆浸透によって海水などの塩溶液から淡水をつくることができる。特別の方法でつくられた酢酸セルロース膜やポリアミド膜は,水を比較的よく通すが塩類をほとんど通さず,逆浸透膜と呼ばれ,海水の脱塩による淡水の製造に広く用いられている。
→逆浸透法
執筆者:妹尾 学
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
純溶媒と溶液(あるいは希薄溶液と濃厚溶液)が半透膜を隔てて接するとき,溶液を薄める方向に半透膜を通して溶媒が自発的に移動する現象.溶液の一般的性質である.浸透の結果,溶液側の圧力は高まる.逆に,浸透を阻止するためには溶液側に過剰圧を加える必要がある.動物膜(例;ブタの膀胱膜)を通しての水から砂糖水溶液への水の浸透は,もっともよく知られた例である.[別用語参照]浸透圧,浸透圧計
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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