…小麦粉でつくるめん類の一種。名称は奈良時代に中国から渡来した唐菓子の餛飩(こんとん)からの転化で,いつの間にか饂飩,温飩と書かれ,〈うんどん〉〈うどん〉と呼ばれるようになったが,中身は別物である。近世に饂飩といったのは中国の切麵(せつめん)で,日本の切麦(きりむぎ)にあたる。…
…それはケシやサンショウをすり混ぜたくず粉のだんごをみそ汁仕立てにするというもので,料理法もちがえば,手づかみで食べられるものでもなかった。このきんとんはあまり行われなかったとみえて,その後ふっつりと姿を消してしまうが,おそらく唐菓子の餛飩(こんとん)あたりに起源をもつもので,いまも各地で行われている〈ほうとう〉やうどんに吸収されたものであろう。さて,現在きんとんといえばまず正月料理などに使うそれを指す。…
…唐菓子には多くの種類があった。《和名抄》などが〈八種唐菓子〉と呼ぶ梅枝(梅子)(ばいし),桃枝(桃子)(とうし),餲餬(かつこ),桂心(けいしん),黏臍(てんせい),饆饠(ひら∥ひちら),子(ずいし),団喜(だんき)(歓喜団(かんぎだん)とも)のほか,餅腅(へいだん),粉熟(ふずく),索餅(さくべい)(麦縄(むぎなわ)),捻頭(ねんとう),結果(加久縄)(かくなわ∥かくのあわ),糫餅(曲)(まがり),餛飩(こんとん),餺飥(はくたく),餢飳(伏兎)(ぶと),粔籹(興米)(おこしごめ),煎餅などがあったという。八種唐菓子のうち,《和名抄》に製法の記載があるのは餲餬と黏臍で,いずれも小麦粉をこね,前者は蝎虫(かつちゆう)(サソリとも,キクイムシともいう),後者は臍(へそ)形にして油で揚げたものとなっている。…
※「餛飩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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