貞丈雑記(読み)テイジョウザッキ

デジタル大辞泉 「貞丈雑記」の意味・読み・例文・類語

ていじょうざっき〔テイヂヤウザツキ〕【貞丈雑記】

江戸時代有職故実書。16巻。伊勢貞丈いせさだたけ著。子孫のために書き記した宝暦13年(1763)以降の雑録を、死後弟子が校訂して天保14年(1843)に刊行武家有職に関する事項を36部門に分けて記したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「貞丈雑記」の意味・読み・例文・類語

ていじょうざっき テイヂャウザッキ【貞丈雑記】

江戸中期の有職故実研究書。一六巻一六冊。伊勢貞丈(さだたけ)著。天明四年(一七八四)頃に成る。没後六〇年を経て、天保一四年(一八四三)刊。貞丈が子孫の為に書き続けた雑記を編集したもの。内容は武家有職に関する諸事項で三六部門二三五〇項に及ぶ。

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改訂新版 世界大百科事典 「貞丈雑記」の意味・わかりやすい解説

貞丈雑記 (ていじょうざっき)

伊勢貞丈(さだたけ)の著した有職故実書。16巻。礼法,礼儀,人品,人物,人名,小袖,烏帽子,役名,官位装束,飲食,膳,酒盃,輿,調度,書札,進物弓矢武具,刀劔,馬,馬具,家作,座鋪,紙類,皮類,鳥目,鷹,物数,言語,神仏,諸結,凶事,雑事,書籍の35部に分類記載されている。貞丈が子孫が古書を読むときのたよりに,また人から故実を聞かれたおりの助けにもと,1763年(宝暦13)1月以後日々筆のまにまに書き記した雑録で,草稿のまま伝わったのを,子孫貞友のとき岡田光大が清書校合して1843年(天保14)に刊行。《増訂故実叢書》に収録。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「貞丈雑記」の意味・わかりやすい解説

貞丈雑記
ていじょうざっき

有職(ゆうそく)故実の解説書。伊勢貞丈(いせさだたけ)の著。十六巻。一巻は礼法、祝儀之部、以下二巻は人品、人物、人名、三巻は小袖(こそで)、烏帽子(えぼし)、四巻は役名、官位、五巻は装束、六巻は飲食、七巻は膳部(ぜんぶ)、酒盃(しゅはい)、輿(こし)類、八巻は調度、九巻は書札、進物、十巻は弓矢、十一巻は武具、十二巻は刀剣、十三巻は馬、馬具、十四巻は家作、座鋪(ざしき)飾、紙類、皮類、十五巻は鳥目類、鷹類、物数、言語、十六巻は神仏類、諸結、凶事、雑事、書籍之部と三十五部門に分け、さらに細目に分けている。

 子孫が古書を研究する参考に、また人に故実を聞かれたおりの助けにもと、1763年(宝暦13)正月以後、日々記載した雑録で、貞丈没後は弟子が改訂を加え刊行した。有職家伊勢家の所伝を受け継いでつづり、関係事項を広く網羅、考証解説し図解をも加えて、武家故実の広範な範囲を示し故実学を成立させた。後世もっぱら本書で疑義を解こうとしているほどの重要書。『増訂故実叢書(そうしょ)』所収。

[小野信二]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「貞丈雑記」の解説

貞丈雑記
ていじょうざっき

江戸中期の有職故実書。16巻。伊勢貞丈(さだたけ)著。1763年(宝暦13)から没年までの約20年間に,貞丈が筆録した有職故実各種に関する雑記の集成。1843年(天保14)貞友の代に,岡田光大(みつひろ)と千賀春城(はるき)も加わって整理,36部に部類編集して刊行。部類の下に2350の項目を立てる。官職・装束・飲食・調度・武具などの部類が詳しい。貞丈の代表的著作であるとともに,有職故実書の代表的存在。「故実叢書」「東洋文庫」所収。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「貞丈雑記」の意味・わかりやすい解説

貞丈雑記
ていじょうざっき

江戸時代後期の有職故実書。 16巻,36部。伊勢貞丈著。子孫への古書案内,故実研究の参考書として,宝暦 13 (1763) ~天明4 (84) 年の 22年間にわたり執筆。草稿のまま伝わったのを岡田光大が校訂して天保 14 (1843) 年に刊行した。

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