出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
有職(ゆうそく)故実の解説書。伊勢貞丈(いせさだたけ)の著。十六巻。一巻は礼法、祝儀之部、以下二巻は人品、人物、人名、三巻は小袖(こそで)、烏帽子(えぼし)、四巻は役名、官位、五巻は装束、六巻は飲食、七巻は膳部(ぜんぶ)、酒盃(しゅはい)、輿(こし)類、八巻は調度、九巻は書札、進物、十巻は弓矢、十一巻は武具、十二巻は刀剣、十三巻は馬、馬具、十四巻は家作、座鋪(ざしき)飾、紙類、皮類、十五巻は鳥目類、鷹類、物数、言語、十六巻は神仏類、諸結、凶事、雑事、書籍之部と三十五部門に分け、さらに細目に分けている。
子孫が古書を研究する参考に、また人に故実を聞かれたおりの助けにもと、1763年(宝暦13)正月以後、日々記載した雑録で、貞丈没後は弟子が改訂を加え刊行した。有職家伊勢家の所伝を受け継いでつづり、関係事項を広く網羅、考証解説し図解をも加えて、武家故実の広範な範囲を示し故実学を成立させた。後世もっぱら本書で疑義を解こうとしているほどの重要書。『増訂故実叢書(そうしょ)』所収。
[小野信二]
江戸中期の有職故実書。16巻。伊勢貞丈(さだたけ)著。1763年(宝暦13)から没年までの約20年間に,貞丈が筆録した有職故実各種に関する雑記の集成。1843年(天保14)貞友の代に,岡田光大(みつひろ)と千賀春城(はるき)も加わって整理,36部に部類編集して刊行。部類の下に2350の項目を立てる。官職・装束・飲食・調度・武具などの部類が詳しい。貞丈の代表的著作であるとともに,有職故実書の代表的存在。「故実叢書」「東洋文庫」所収。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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