精選版 日本国語大辞典 「馬芝居」の意味・読み・例文・類語
うま‐しばい‥しばゐ【馬芝居】
- 〘 名詞 〙 馬にいろいろな芸をさせる見世物。
- [初出の実例]「馬芝居 きょく馬」(出典:俳諧・季寄新題集(1848)春)
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…宝暦期(1751‐64)に現れた女曲馬は,〈立ち駈(か)け〉〈下りふじ〉〈敵隠れ〉〈蟬どまり〉〈鶴の餌拾い〉などの曲目で評判をとり,寛政(1789‐1801)から文化・文政期(1804‐30)にかけて全盛で,華やかな衣装で歌舞伎芝居の所作事,早替りを演じた。幕末ころは大坂で樋口弥多丸,江戸では花谷勝次郎,渡辺芳三郎などの一座があり,〈石橋(しやつきよう)〉〈七変化〉〈玉藻前〉〈法界坊〉〈浦島〉〈阿古屋〉などの曲馬芝居(馬芝居)で人気をあつめたが,その興行は軽業一座,足芸一座とは別の,曲馬だけの掛小屋で行われた。やがて外来の西洋曲馬が現れる。…
…それまでの日本の軽業,足芸,曲馬などの見世物は,それぞれが芸種別の一座を組み個々の興行形態であったのに比べ,外国のサーカスは規模も大きく,芸種も豊富であったので大評判を呼んだ。とりわけ在来の日本曲馬は,曲乗りも演じていたものの,歌舞伎芝居を馬上で演じるおうような曲馬芝居(馬芝居)が主演目であったので,そのスピード,スリルのある軽業的曲乗りに圧倒された。86年9月東京秋葉原のチャリネ公演は5代目尾上菊五郎に刺激をあたえ,11月の千歳(ちとせ)座で彼はみずからチャリネ曲馬師,猛獣使いに扮し,《鳴響茶利音曲馬(なりひびくちやりねのきよくば)》と銘打って上演したほどである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」