金属(10-4~10-6 Ω cm)のようには電流が流れず,絶縁体(1014 Ω cm 以上)ほどに電気抵抗が大きくない中間的な電気伝導性をもつ物質を,一般に半導体とよび,そのような性質を高分子が有する場合,高分子半導体という.有機化合物においては,炭素-炭素二重結合が長く共役するほど,それらπ電子の電子状態を示す帯構造のエネルギーは減少し,電子が流れやすくなる.高分子半導体は,高分子の特質である配向性を利用して,電気伝導性に異方性を任意に,かつ容易に付与できるという利点をもつ.高分子半導体としてもっとも古くから知られている例は,多環芳香族化合物であるが,最近では,ポリ-p-フェニレン,ポリ(ベンゾイミダゾール),ポリアクリロニトリル,ポリアセチレン,ポリフェニルアセチレンなど,種々の高分子半導体が合成されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報