アクリロニトリルCH2=CHCNの重合体(ポリマー)。PAN(パン)と略称される。単量体(モノマー)のアクリロニトリルはアクリル系の合成繊維や、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)系の合成ゴムの主原料であり、プラスチックとしての利用にはブタジエン、スチレンとの三元共重合物としてのABS樹脂がある。
アクリロニトリルは、以前はアセチレンにシアン化水素酸(青酸)を反応させて製造されていたが、現在ではプロピレンを原料として、青酸のような有害ガスを使わないソハイオ(sohio)法が採用されている。反応式は次のようになる。
ソハイオ法によってアクリロニトリルは、白色ないし黄色の柔らかい不透明な粉末あるいは塊として得られる。単独に用いられることは少なく、いろいろな単量体と共重合させたものが利用されている。
現在、注目されている炭素繊維は、PAN系のものが主流である。ポリアクリロニトリル系合成繊維(アクリル繊維)は、ポリアミド系(ナイロン)、ポリエステル系とともに、合成繊維の主力を占めている。
[垣内 弘]
略称PAN.アクリロニトリルは非常に重合しやすく,過酸化ベンゾイルなどによってラジカル重合,また金属ナトリウムやナトリウムメトキシドなどによってイオン重合して,ポリアクリロニトリルを与える.工業的にはオーロン繊維([別用語参照]アクリル繊維)として知られている.また,スチレンやメタクリル酸メチルなど,ほかのビニル化合物との共重合も容易である.ポリアクリロニトリルは,炭化水素,アルコール類,エーテルなどの普通の有機溶媒には不溶で,良溶媒としては,ロダン塩,塩化亜鉛などの濃厚水溶液,N,N-ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド,スクシノニトリル,2-オキサゾリドンなどがある.ポリアクリロニトリルは,水酸化ナトリウムなどのアルカリを添加するか,あるいは200 ℃ 以上で加熱するとピリジン環が生成して茶褐色に着色する.着色を防止するために,工業的にはAlやSrの有機酸塩,Ca塩,無水マレイン酸などを安定剤として加える.[CAS 25014-41-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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…そのほか,防弾チョッキやヘルメットに使われ,航空機の軽量複合材としても使用が計画されており,今後最も伸びる繊維と予測されている。
[ポリアクリロニトリル系]
アクリル繊維とモダクリル繊維がある。ステープルファイバー(短繊維。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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