朝日日本歴史人物事典 「高木仙右衛門」の解説
高木仙右衛門
生年:文政7.2.12(1824.3.12)
幕末期の潜伏キリシタンの中心人物。聖名ドミニコ。長崎浦上の水方補佐。自宅を秘密聖堂(聖ヨゼフ堂)として開放,慶応3(1867)年にカトリックの葬式を行い,仏葬拒否の埋葬事件として逮捕されるが勇敢に抗弁,信徒の要となった。また潜伏キリシタンに対する弾圧事件の「浦上四番崩れ」(同年~明治6年)では,ただひとり棄教せず,明治1(1868)年には新政府によって津和野藩へ主要信徒とその家族と共に流刑された。寒地で残虐非道の拷問に耐え抜きここでも仲間を激励,迫害下病身で信仰を貫く。同6年の釈放後は浦上に戻り,自宅を赤痢療養所や孤児院とし,教導,福祉に献身した。彼が綴った『仙右衛門覚書』は貴重な史料である。<参考文献>浦川和三郎『浦上切支丹史』,池田敏雄『キリシタンの精鋭』
(大江満)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報