高高度飛行(読み)こうこうどひこう(その他表記)high altitude flight

日本大百科全書(ニッポニカ) 「高高度飛行」の意味・わかりやすい解説

高高度飛行
こうこうどひこう
high altitude flight

航法・工学上は明確な定義がないが、日本の航空交通管制では2万4000フィート(約7300メートル)以上を、おもにジェット機を対象とする高高度管制としているので、この高度以上をさすといってもよい。この高度で、気温は零下32℃、気圧は地上の39%程度になる。空気密度の小さい高高度では、プロペラ機は推進効率が落ちるが、ジェット機の場合は空気抵抗の減少によって逆に速力が増大し、燃料も節減される。したがって、エンジンの性能が許す限り高い高度で飛行することが望ましい。しかし、高高度では気温および気圧が低く、酸素も少ないので人間の生存に適さない。そのため、搭乗室に与圧および空調装置が必要となる。ジェット機ではエンジンで大量の高温高圧の空気をつくりだしているためそれが利用でき、この点でも高高度の飛行に適するといえる。しかし、海面高度から低温・低圧の高高度までの上昇・降下を何回も繰り返すことによって機体構造に疲労破壊を生ずるおそれがあり、設計時のその配慮が必要である。また、人体に対しては高山病に類する酸素欠乏症や、長時間の飛行を行う乗務員に対しオゾン、あるいは宇宙線などによる障害を考慮しなければならない。

[落合一夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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