鬼子(読み)おにご

精選版 日本国語大辞典 「鬼子」の意味・読み・例文・類語

おに‐ご【鬼子】

〘名〙
① 鬼に似て異様な容貌で生まれてきた子。多く歯、または髪が生えて生まれた子にいう。
台記‐康治三年(1144)五月二〇日「左大将云、大津有人、生鬼子者、其貌、面長一尺、有二目開、鼻長及頤、頤下有口、頭後又有目鼻口、但其目一矣」
② 鬼のように荒々しく強い子供。
浄瑠璃・浦島年代記(1722)四「サア鬼子と熊との棒捻ぢゃ」
両親に似ていない子。比喩的にも用いる。
※彼の歩んだ道(1965)〈末川博〉教学十話「現代科学は、核兵器のようなおそるべき鬼子を生んだ」

おにっ‐こ【鬼子】

滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「親に似ねへ子は鬼子(オニッコ)とやらで」

おに‐の‐こ【鬼子】

〘名〙 昆虫みのむし(蓑虫)」の異名。《季・秋》 〔藻塩草(1513頃)〕

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デジタル大辞泉 「鬼子」の意味・読み・例文・類語

おに‐ご【鬼子】

《「おにっこ」とも》
両親に似ない子。
歯が生えて生まれた子。
荒々しい子。
「さあ、―と熊との棒捻ぢぢゃ」〈浄・浦島年代記〉

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普及版 字通 「鬼子」の読み・字形・画数・意味

【鬼子】きし

罵る語。

字通「鬼」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の鬼子の言及

【捨子】より

… こうした現実の捨子とは別に,日本には一時的に子供を捨てる儀礼的な捨子の習俗がある。四十二の二つ子などといって親の厄年に生まれた子供や,鬼子と称し歯の早く生えた子や異形な容姿をした子供,また病弱な子や子育ちの悪い家の子供などを辻や川に捨て,あらかじめ頼んでおいた知人や通行人に拾ってもらい再びそれを実の親が引き取るものである。この拾い手を拾い親・辻親と呼び,仮親の関係を結んで命名や将来の庇護を依頼したり,捨松など子の名前に捨の字を付けたりする場合もある。…

【弁慶】より

…また,山伏と鍛冶との交流も考えられるが,問題はそれらの個々の伝承者を離れて,弁慶が典型的な民間の英雄として,その像がどのような種類の想像力によって生成されたかを解明することであろう。
[鬼子,捨子,童子]
 弁慶の誕生譚に関するほとんどの伝承は,鬼子(おにご)として生まれ,山中に捨てられたとするモティーフを備えている。鬼子は,《台記》や《日葡辞書》にも見られるように,長い髪の毛,つまり童髪(わらわがみ)をし,歯が大きく,または二重に生えている者のことをいうが,他の説話や伝説でも,鬼子は殺されるか捨てられるかするのが普通である。…

※「鬼子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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