日本大百科全書(ニッポニカ) 「鯱鉾」の意味・わかりやすい解説
鯱鉾
しゃちほこ
宮殿、楼門、城郭などの屋根の大棟の両端に取り付けられる瓦(かわら)、または金属製の飾り物。トラに似た頭、ハリネズミのように鋭いとげのある皮、ひれをもち、人をかみ、老いると鮫魚になるという、想像上の魚形海獣をかたどっている。雌雄一対をなし、海にすむところから防火の効があるとされ、逆立ちをして反り返った姿につくられている。鴟尾(しび)が変形したものという説もある。名古屋城天守閣上の金の鯱鉾は、もっとも著名である。また、そのいかめしくこわばった形状により、「しゃち(ほ)こだつ」「しゃち(こ)ばる」「しゃちばりかえる」などのことばが派生した。なお、マイルカ科のサカマタ(シャチ)、マツカサウオの異名でもある。
[兼築信行]