鰓心臓(読み)えらしんぞう(その他表記)branchial heart

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改訂新版 世界大百科事典 「鰓心臓」の意味・わかりやすい解説

鰓心臓 (えらしんぞう)
branchial heart

軟体動物頭足類にのみみられる器官で,外套(がいとう)腔mantle cavityに垂れ下がっているえらの基部にあって本ものの心臓(体心臓)同様に律動的に収縮拡大することによって入鰓(にゆうさい)血管afferent branchial veinに向かって静脈血を送りこむ。したがってえら心臓は本鰓の数と同数ある。軟体動物のうち最も敏しょうな運動を行う頭足類は多量の酸素を必要とするが,えら心臓はそれに対する形態適応で,頭足類の循環血液圧力と速度を増すための器官である。えら心臓を囲むえら心臓鞘(しよう)は体腔の一部とされ,それに付着する小体は排泄器官の一つである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鰓心臓」の意味・わかりやすい解説

鰓心臓
えらしんぞう
branchial heart

イカ,タコなど頭足類の鰓の基部にあって,律動的に収縮する1対の袋状の器官。心臓と鰓を結ぶ血管のふくらみで静脈血を収め,鰓内に血液を送る働きをしている。二鰓類では左右合計2個,四鰓類では4個の鰓心臓をもつ。

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