鳳凰寺村(読み)ぼおうじむら

日本歴史地名大系 「鳳凰寺村」の解説

鳳凰寺村
ぼおうじむら

[現在地名]大山田村鳳凰寺

なか村の北に位置する。とどろき川(現高砂たかす川)は村の中央を西流し、石原いしわら平田ひらた村のたに川に入る。轟川の小扇状地に集落が形成され、条里の遺構もみられる。西部丘陵の轟一帯は弥生末期以後の土器須恵器が出土し、また県指定史跡の鳳凰寺廃寺跡が存する。それより東へ約八〇〇メートルほどの谷底平野の奥に、六世紀前半頃の前方後円墳なる塚がある。それらを取巻く周辺の標高二〇〇メートル程度の丘陵上は、旧伊賀国地域でも最も密度の高い古墳群地域である。東部より山口やまぐちの一―一二号墳、生賀しようがの一―一九号墳、南部丘陵の中連ちゆうれんの一―六号墳、その西の岡の前おかのまえの一―四号墳など約一〇〇基を超える古墳が確認されている。いずれも後期古墳の円墳が主で、横穴式石室の認められたもの十数基が存する。この古墳の一つ、轟のきよう塚は円墳上に造られた重層遺跡で、横穴式石室があり、草花双鳥文長方鏡をはじめ土器類が出土している。「三国地志」は「准后伊賀記」「永閑伊賀名所記」などの記事を考察して、この地を天智天皇に仕え大友皇子らを産んだ伊賀采女宅子の出身地とみて、この経塚と結び付けており、谷川士清は「日本書紀通証」で「宅子媛は山田郡司之女也」と説いている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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