鴨山(読み)かもやま

日本歴史地名大系 「鴨山」の解説

鴨山
かもやま

湯抱ゆがかえ温泉の西奥に延びる女良めら谷の北側にある山。標高三六〇メートル。西に大釣おおづり(三八八・六メートル)がそびえる。「万葉集」巻二に、柿本人麻呂石見国において死に臨んだ際に自らを悲しんで詠んだ歌として「鴨山の岩根し枕けるわれをかも知らにと妹が待ちつつあらむ」が載る。近年当地の鴨山が有名になっているが、これは歌人斎藤茂吉がこの山を人麻呂終焉の地であろうと発表したことによる。明治二三年(一八九〇)土地台帳(邑智町役場蔵)によれば、鴨山は湯抱村字鴨山第五二五番地にあって、七等雑木山、山林反別八町六反五畝二一歩ほどの山である。


鴨山
かもやま

中世の史料に宗像社領として散見する地名。宗像社家文書惣目録(宗二)によると、宗像社領である鞍手郡「鴨山」ほかに関して宗像社の社務を全うすることを命じた内容と推定される建武元年(一三三四)三月二〇日付の雑訴決断所牒が存在していた。至徳四年(一三八七)四月三日、九州探題今川了俊は「鴨山」などを宗像大宮司に安堵している(「今川了俊書下」宗像大社所蔵文書/南北朝遺文(九州編)六)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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