朝日日本歴史人物事典 「鹿野小四郎」の解説
鹿野小四郎
生年:明暦1(1655)
江戸前期の篤農家,村役人。加賀国江沼郡吉崎村(加賀市)の貧農の家に生まれ,船乗りとしても働いていたが,のち大聖寺藩より十村役(大庄屋)に取り立てられ,職務に多忙の日々を送った。晩年,子へ伝えるため『農事遺書』全5巻(1709年成立)を著した。農業の実際に詳しく,また貧農の出でありながら十村役に取り立てられたという経歴や『農事遺書』の内容などから,きわめて有能緻密な人物だったと考えられる。『農事遺書』は近世前期の北陸農業の実態を知りうる貴重な史料である。<参考文献>清水隆久・若林喜三郎「『農事遺書』現代語訳・解題」(『日本農書全集』5巻),清水隆久『近世北陸農業史』
(松村敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報