改訂新版 世界大百科事典 「黄丕烈」の意味・わかりやすい解説
黄丕烈 (こうひれつ)
Huáng Pī liè
生没年:1763-1825
中国,清の蔵書家。字は紹武,号は蕘圃(じようほ),のち復翁とも号した。江蘇省呉県の人。乾隆の挙人で,分部主事にまでなった。非常な書物好きで,宋版本を買い集めること100余種,それを1室に置いて〈百宋一廛(ひゃくそういってん)〉と称した。後輩の顧広圻(ここうき)(1770-1839)は彼のために〈百宋一廛賦〉を作り,黄丕烈みずから注釈して版本の源流と収蔵の系譜を示した。このほかにも善本を得るたびに細かく校勘し,ときにはこれを復刻して世に広めた。《士礼居黄氏叢書》は主としてそれらの復刻を集めたものである。後の人が,彼が善本を得て書いた文章を集めて《士礼居蔵書題跋》等を作ったが,収集の経緯を語ることが多く,書物の内容に及ぶことは少ないとして批判する人もある。
執筆者:尾崎 雄二郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報