黄色腫症(読み)おうしょくしゅしょう(英語表記)Xanthomatosis

六訂版 家庭医学大全科 「黄色腫症」の解説

黄色腫症
おうしょくしゅしょう
Xanthomatosis
(皮膚の病気)

どんな病気か

 皮膚にもれ出た脂質を組織球が貪食(どんしょく)し、泡沫(ほうまつ)細胞として組織に存在する状態です。

原因は何か

 血中脂質レベルによる分類は、①家族性高脂血症、②肝、腎、(すい)疾患、糖尿病などに合併する二次性高脂血症、③正脂血症(せいしけつしょう)(高脂血症のないもの)です。

症状の現れ方

 臨床の形態分類として、結節、発疹、扁平型などがあります。

 結節性(けっせつせい)黄色腫症は、黄色から赤褐色で、皮膚から1㎝以上盛り上がった結節です。高コレステロール血症に多くみられ、膝、肘、指、足趾(そくし)に生じます。

 発疹型(ほっしんがた)黄色腫症は、1㎝以下の盛り上がった丘疹が多発します。高トリグリセリド(中性脂肪)血症に合併しやすいものです。

 扁平型(へんぺいがた)黄色腫症は、扁平に盛り上がる黄色腫ですが、盛り上がらずに、黄色調の変化だけのものもあります。

 眼瞼(がんけん)黄色腫症は、3分の2は正脂血症に伴うものです。

 手掌線条型(しゅしょうせんじょうがた)は、手のひらしわにそって黄色腫が生じます。高コレステロール血症に多くみられます。(けん)黄色腫は、腱の肥厚として触れ、アキレス腱、指の伸展腱に好発します。

 二次性黄色腫症は長期の高脂血症に合併する発疹型で、四肢関節の背面にできます。

検査と診断

 組織検査で泡沫細胞(ほうまつさいぼう)の存在を証明します。高脂血症の検査(血清コレステロール、トリグリセリド、リポ蛋白の定量ならびに電気泳動)で、高脂血症に伴うものかどうかを決めることが重要です。扁平型黄色腫症では、とくに骨髄腫(こつずいしゅ)の検索が必要です。

 正脂血症のものでは、ランゲルハンス細胞組織球症(さいぼうそしききゅうしょう)、びまん性扁平黄色腫、若年性黄色肉芽腫(じゃくねんせいおうしょくにくげしゅ)との区別が必要です。

治療の方法

 低脂肪食、低カロリー食、低炭水化物食など高脂血症の型に合わせた食事制限とともに、薬物治療(抗高脂血症薬)を行います。眼瞼黄色腫症には、レーザー治療または切除を行います。発疹型と手掌線条型は、食事療法で改善しやすいものです。

病気に気づいたらどうする

 皮膚科、内科を受診します。

宇谷 厚志

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「黄色腫症」の解説

おうしょくしゅしょう【黄色腫症 Xanthomatosis】

[どんな病気か]
 高脂血症(こうしけっしょう)(「高脂血症(高リポたんぱく血症)」)の合併症の1つで、皮膚における動脈硬化(どうみゃくこうか)のような病変です。高コレステロール血症の人に生じる結節性黄色腫(けっせつせいおうしょくしゅ)は、黄色みを帯びた結節(しこり)が多発するもので、腱黄色腫(けんおうしょくしゅ)は、アキレス腱など皮膚表面に近い腱が太くなるものです。高トリグリセリド血症の人には小型の黄色丘疹(きゅうしん)がたくさんできます。もっとも頻度の高い眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)は、上まぶたの目がしら部にできる扁平(へんぺい)な黄色結節です。
[原因]
 血漿(けっしょう)中のリポたんぱく(脂肪とたんぱくの結合物)を取り込んで脂肪分をためた泡沫細胞(ほうまつさいぼう)が皮膚や腱に浸潤(しんじゅん)しておこります。眼瞼黄色腫の場合は必ずしも高脂血症が原因とはかぎりませんが、冠動脈疾患の合併が多いといわれています。
[検査]
 血液脂質(中性脂肪やコレステロール)検査を行ない、動脈硬化性疾患の合併を調べます。
[治療]
 高脂血症のタイプにしたがって食餌療法(しょくじりょうほう)と薬物療法を行ないます。高脂血症のない眼瞼黄色腫にも薬物療法を行なったほうがよいと思われます。黄色腫の退縮には、プロブコール製剤がよく効きます。切除手術や液体窒素(えきたいちっそ)による冷凍療法もあります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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