日本歴史地名大系 「黒森神社」の解説
黒森神社
くろもりじんじや
黒森山(三一〇・五メートル)の中腹に鎮座。武速須佐之雄命・大己貴命・稲田姫命の三柱を祀る。旧村社。かつては十一面観音像が祀られ、黒森観音あるいは黒森大権現ともよばれた。黒森山は古くから霊山として尊崇をうけた信仰の山で、社伝によれば垂仁天皇の王子是津親王の山陵であったと伝え、「南部封域志」には「大同延暦年中、田村将軍東夷征伐祈願のため一宇を創建、以つて権現と尊称し奉る」と記す。社堂の建立は建武元年(一三三四)銘の鉄鉢の所在から鎌倉時代末期にさかのぼるものと推定される。山麓には貞治四年(一三六五)銘の鐘を残す安泰寺があったが、同寺が廃されたのちは赤龍寺(幕末に廃寺)が置かれ、別当寺として神事祭礼をつかさどった。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報