鼠ヶ関村(読み)ねずがせきむら

日本歴史地名大系 「鼠ヶ関村」の解説

鼠ヶ関村
ねずがせきむら

[現在地名]温海町鼠ヶ関・早田わさだ

鼠ヶ関川の河口付近に位置し、日本海に面する。はま街道が通り、南は越後国岩船いわふね中浜なかはま(現新潟県岩船郡山北町)、北は小岩川こいわがわ村、東は小鍋おなべ村。枝郷として北方海岸線に早田、鼠ヶ関川上流、鍋倉沢なべくらさわ川との合流点付近に上鍋倉・下鍋倉、南に原海はらみがある。村名は古代の奥羽三関の一つ念珠関に由来し、古くからの交通の要衝として知られる。一一世紀に成立した歌学書「能因歌枕」の出羽国に「ねずみの関」が揚げられるが、証歌はない。「義経記」巻七(三の口の関通り給ふ事)に「念珠の関」とみえる。同巻(直江の津にて笈探されし事)には「念珠の関守厳しくて通るべき様もなければ」とあり、弁慶機転により、源義経一行が事なく出羽国に入った話を伝えている。この条は謡曲「安宅」、さらに歌舞伎「勧進帳」のもととなり、広く知られている。文治五年(一一八九)の奥州合戦に際して、「吾妻鏡」同年七月一七日条によれば「念種関」において合戦があり、比企能員・宇佐美実政を大将軍とする一軍が越後国より当地に侵入したことが知られる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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