伊勢屋安右衛門(読み)いせや・やすえもん

朝日日本歴史人物事典 「伊勢屋安右衛門」の解説

伊勢屋安右衛門

生年生没年不詳
江戸中期の浅草蔵前の札差。本名松本安右衛門幸彦。蔵書家としても名高く,勝鹿文庫と称する万巻の書を蔵していたと伝え,また真本『千金方』を模刻したことなど,当時の十八大通がいずれも遊里を中心とし,浪費を誇示したのに対し,異質な文化的活動を行ったことで注目される。本業の札差は宝暦8(1758)年坂倉屋七兵衛の株を譲り受けて開業(前職も米穀商か)。片町二番組に属し,営業規模は寛政改革の際の棄捐高が1万両余であり,ほぼ平均的な中堅層の札差であったと思われる。<参考文献>幸田成友『日本経済史研究』(『幸田成友全集』2巻)

(北原進)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「伊勢屋安右衛門」の解説

伊勢屋安右衛門 いせや-やすえもん

江戸時代中期-後期商人
初代安右衛門が宝暦8年(1758)江戸浅草片町に開業し,幕末までつづいた札差(ふださし)の代々主人。江戸後期の安右衛門(幸彦,痴庵主人)は膨大な書籍(勝鹿文庫)を収集し,天保(てんぽう)3年その蔵書目録を刊行した。姓は松本。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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