掻い練り(読み)かいねり

精選版 日本国語大辞典 「掻い練り」の意味・読み・例文・類語

かい‐ねり【掻練・皆練】

  1. 〘 名詞 〙
  2. (きぬた)でよく打って練ったり、のりを落として柔らかくした絹織物紅色のものについていうことが多い。
    1. [初出の実例]「なよよかなる直衣(なほし)、しほれよいほどなるかいねりの袿(うちき)ひとかさね」(出典蜻蛉日記(974頃)下)
  3. (かさね)の色目の名。表裏ともに、打ちとした紅。あるいは裏を張りとした紅。火色に同じ(桃花蘂葉(1480))。冬から春までの料。また一説に、火色と異なり、表は打ちによる濃紅、裏は張りによる濃紅で、中陪(なかべ)のないもの(後照念院殿装束抄(1327頃か))。かいねりがさね。
    1. [初出の実例]「かいねりどもは、おとな童いとめでたうて、綾がさねにて着たり」(出典:延喜廿一年京極御息所褒子歌合(921))
    2. 「あざやかならぬ色の山吹・かいねり・濃き衣(きぬ)・あをにびなどを着かへさせ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕霧)

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