日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
鋼鉄はいかに鍛えられたか
こうてつはいかにきたえられたか
Как закалялась сталь/Kak zakalyalas' stal'
ロシアの小説家N・A・オストロフスキーの長編小説。失明と身体麻痺(まひ)という肉体的ハンディと闘いながら、1932年から34年にかけて執筆され、自伝的要素を多分に含んでいる。十月革命直後の過酷な国内戦の時代に、1人の青年がいかにして不屈の信念をもつ共産党員に成長していったかの物語で、ソ連文学の古典的作品に数えられる作品。ウクライナの貧しい家庭に生まれた主人公パーベル・コルチャーギンは、革命とともに故郷の町がドイツ軍、白軍に占領されるなかで赤軍の活動を助け、再建部隊の指揮官にまでなり、負傷と病気に打ち勝ちながら、りっぱな闘士に成長する。
[安井侑子]
『金子幸彦訳『鋼鉄はいかに鍛えられたか』全2冊(岩波文庫)』