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12T(TGP)(希薄燃焼エンジン)

日本の自動車技術240選の解説

12T(TGP)(希薄燃焼エンジン)

 均質希薄燃焼方式は、排出ガス対策と燃料消費改善の面から従来から注目されていた技術であった。しかし、混合気の着火性が低下し、燃焼が不安定になることが大きな障害となって実用化が阻まれていた。これを解決する大きな鍵となったのは、TGPと呼ばれる副燃焼室である。 12Tエンジンは、通常の燃焼室の他に乱流生成スポット(TGP:Turbulence Generating Pot)と呼ばれる吸気バルブを持たない副燃焼室をもち、燃料供給系及び点火系の改善により、均質混合気の着火性を向上し、燃焼を安定させて、混合気の希薄限界を拡大した。 主燃焼室とTGPをつなぐ噴口の部分に2極接地式点火プラグを配置し、圧縮行程中に発生するフレッシュな混合気の流れのなかで着火させ、非常に強い流れが存在するTGP内の混合気は速く燃焼し、強い火炎となって主燃焼室内に噴出し、これによって均質かつ希薄な混合気を速くかつ安定して燃焼させることができる。空燃比16~18の希薄領域での運転を可能にしており、触媒なしで51年排出ガス規制に適合する。 焼結合金製エアブリードを有するキャブレターによって燃料の微粒化・混合気の均質化を図っている。 暖気状態・運転状態を感知して点火時期を適切に遅らせることによって、燃焼室で燃焼できなかったCO、HCは、排気系で反応させる。これによって、最高燃焼温度が低下し、NOxが減少する。 インテークマニホルドの負圧が急上昇すると、インテークマニホルド内壁に付着していた液状燃料が急激に蒸発して濃混合気となるので、一時的に大気をインテークマニホルドに導入する。(ミクスチャコントロールシステム) この51年度排出ガス規制対策を満足するトヨタ希薄燃焼方式の12Tエンジン1.6Lを、1976年1月にカローラ、スプリンターのリフトバック車に搭載し発売した。 53年排出ガス規制では、この12Tエンジンに、酸化触媒、EGR、AS(二次空気導入装置)を装備した12T-Uエンジンの開発につながる。保管場所トヨタ自動車(株)歴史文化部トヨタ博物館(〒480-1131愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番地100号)
製作(製造)年1976
製作者(社)トヨタ自動車(株)
資料の種類量産品
現状保存・非公開
型式12T
種類ガソリンエンジン
会社名トヨタ自動車(株)
用途51年排出ガス対応
搭載車種カリーナ、カローラ
製作開始年1976
製作終了年1978
シリンダ配列・数直列4気筒
サイクル/冷却方式4/水冷
弁型式/数OHV/
燃焼室半球形
総排気量1588cc
内径×行程85.0×70.0mm
圧縮比8.5
質量(重量)141kg
最高出力85PS/5400rpm
最大トルク12.5kgm/3400rpm
燃料消費率17.5km/L
吸気系クロスフロー式
排気系クロスフロー式
エピソード・話題性均質希薄混合気を吸入し、副燃焼室と噴口およびプラグの配置など適度なレイアウトにより、着火性能を飛躍的に向上させた他社に例を見ない独自の希薄燃焼方式。
特徴均質希薄混合気を使用した希薄燃焼方式により、触媒なしで51年排出ガス規制に適合。 TGPという副燃焼室を設け、点火プラグは主燃焼室とTGPをつなぐ噴口の部分に位置させ、圧縮行程中に発生するフレッシュな混合気の流れのなかで点火する。 TGP内には非常に強い流れが存在するために、TGP内の混合気は速く燃焼し、主燃焼室内に向かって強い噴流火炎となって現れ、これによって均質かつ希薄な混合気を早くかつ安定して燃焼させる。
参考文献戸田忠秀、野平英隆、許斐敏明、石山忍「トヨタ希薄燃焼エンジン(12T)の燃焼解析」トヨタ技術第26巻第2号 昭和51年10月三田省吾、小西正巳、中村徳彦、大野栄嗣、梅花豊一「トヨタ希薄燃焼エンジンの燃焼特性」トヨタ技術第26巻第3号 昭和51年12月
その他事項 :希薄燃焼エンジン;過給:自然吸気;バルブタイミング:吸入(開8°、閉50°)、排気(開55°、閉3°); :燃焼制御方式(触媒なし); :均質混合気吸気; :副燃焼室(吸気弁なし); :2バレルキャブレタ(アイドルリミッタ付); :2極接地式点火プラグ; :排気マニホールド(二重構造保温タイプ); :点火時期制御装置(TCS);減速時制御装置:ミクスチャコントロール、スロットルポジショナ; :ブローバイガス還元装置(PCV)クローズド;燃料蒸発ガス抑止装置:キャニスタ; :2ウェイクランクケースベンチレーション;CO:2.01g/km(最高規制値)2.7g/km;HC:0.12g/km(最高規制値)0.39g/km;Nox:0.57g/km(最高規制値)1.2g/km;最高速度:160km/h;登坂能力:0.64tanθ;

出典|社団法人自動車技術会日本の自動車技術240選について | 情報

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