DNAリガーゼ(読み)ディーエヌエーリガーゼ

化学辞典 第2版 「DNAリガーゼ」の解説

DNAリガーゼ
ディーエヌエーリガーゼ
DNA ligase

EC 6.5.1.1,EC 6.5.1.2.DNA-連結酵素(DNA joining enzyme)ともいう.2本鎖DNAの片方の鎖の切断部(隣接する3′-ヒドロキシ基と5′-リン酸基)をホスホジエステル結合させる酵素.酵素反応で Mg2+ を要求し,さらにファージリガーゼATPを,またバクテリアのリガーゼはNADを必要とする.ATP,NADはアデニル酸,酵素複合体の形成に必要であり,この複合体の合成が第一段階の反応で,第二段階でこの複合体とDNAが反応し,DNAにホスホジエステル結合をつくり,AMPを放出する.

 酵素 + NAD(ATP) 酵素・AMP +

nicotinamide mononucleotide 

 酵素・AMP + DNA(1本鎖切断) →

DNA(連結) + 酵素 + AMP 

この酵素は動物細胞からも見いだされ,生体内では,DNAの複製,DNAの修復に関与している.[CAS 9015-85-4]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「DNAリガーゼ」の意味・わかりやすい解説

DNAリガーゼ (ディーエヌエーリガーゼ)
DNA ligase

2本鎖DNAの一方の鎖に入った切れ目をつなぐ酵素。1967年アメリカのジェラートM.Gellertらによって大腸菌から発見された。DNA連結酵素ともよばれ,DNA鎖の3′-OH末端と5′-リン酸末端をリン酸ジエステル結合で連結する。すべての細胞に含まれていると考えられており,DNAの複製,修復あるいは組換えなどに必須である。DNA複製においては,最初短いDNA鎖が合成され,DNAリガーゼによってそれらが互いにつながって長い分子となる。またDNA修復においては,修復の最後の段階でこの酵素が必要である。最近では,遺伝子工学の発展にともない,試験管の中で種々のDNA断片を結合して組換え体DNAを作るためにも多用されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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