DVB-T方式(読み)でぃーぶいびーてぃーほうしき

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国際的な標準規格として承認された地上デジタルテレビジョン放送方式の一つ。DVB-TはDigital Video Broadcasting-Terrestrial(デジタルビデオ放送‐地上用)の頭文字をとったもの。DVBファミリーのうちの、地上デジタル放送に関する規格である。ヨーロッパ諸国(ロシアを含む)、オーストラリア、南アフリカ、インド、インドネシア、台湾などで採用されている。

 DVB-T方式に、送信電力の軽減やデジタル符号処理の改善などを施した第2世代の規格はDVB-T2方式とよばれ、イギリス、フィンランドで採用されている。DVB-T方式とDVB-T2方式とは片互換で、DVB-T2受信機でDVB-T受信はできるが、DVB-T受信機でDVB-T2受信はできない。

[吉川昭吉郎 2015年6月17日]

おもな仕様

(1)マルチキャリア(複数搬送波) 一つのチャンネルを単一のキャリア(搬送波。情報をのせて伝える電波)で送信するのではなく、複数(多数)のキャリアを用いて送信するマルチキャリア方式が採用されている。

 マルチキャリア方式では、マルチパス(多重波伝搬。高層建築物などで反射された複数の電波が時間差を伴って本来の電波に重なって到達する現象)による障害を克服することができて、都市部のように高層ビルが林立する場合でも安定した受信が保たれる。なお、日本方式のISDB-Tでもこの方式が採用されている。

(2)インターリーブ インターリーブとは、雑音などによってデジタル信号の符号列が乱れた場合、これを元の正しい符号列に直す処理技術である。DVB-T方式では、周波数インターリーブという方式を使うことで、雑音に強いシステムを得ている。日本方式のISDB-Tの場合には、周波数インターリーブと時間インターリーブが併用され、二重の備えがなされているが、DVB-Tでは時間インターリーブは省かれている。

(3)チャンネルのセグメント化(区分化) 一つの放送チャンネルをセグメントとよばれる複数の区分に分割して利用する技術であるが、DVB-T方式ではセグメント化は行われない。

(4)移動端末機(モバイル端末機)用放送 DVB-T方式では利用不可能。ただし上位規格のDVB-H(DVB-Handheld、DVB‐携帯用)には移動端末機向けの規格が含まれているので利用可能である。

(5)データ通信 利用可能である。

[吉川昭吉郎 2015年6月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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