データ通信(読み)でーたつうしん(英語表記)data communication

日本大百科全書(ニッポニカ) 「データ通信」の意味・わかりやすい解説

データ通信
でーたつうしん
data communication

音声信号のかわりにパルス列でデジタル化された信号を通信すること。また、そのためのシステム全般をさす。とくに、遠隔地の端末機とコンピュータ、コンピュータどうしの間でデータの交換を行う場面をさすことが多い。データ通信のハードウェアは、通信制御装置回線の接続、送信・受信制御制御信号解読・編集などを行う)と、変復調装置(端末機またはコンピュータ内で取り扱われるデジタル信号通信回線の仕様に適合したパルス列に変換し、受信の場合はその逆を行う)、それに通信回線からなる。通信回線は、もっとも簡単なシステムではアナログの公衆電話回線であった。電話会社または通信業者では、デジタル・データ通信に適合した回線のサービスを行っている。通信業者が提供している回線サービスは、専用線を利用する特定回線と、デジタル公衆通信回線とがある。これらは交換局を通して全国に回線をつなぐことができる。さらに、ネットワーク・プロバイダーとよぶインターネット接続業者までの通信に公衆通信回線を用いることもできる。LAN(ラン)(ローカル・エリア・ネットワーク)のように、限られた範囲内でのデータ通信を行うには、通信業者のサービスに依存しなくても独自にローカルな回線を引くことができる。同軸ケーブルだけでなく、光ファイバー無線などが利用されており、世界的な規模での通信衛星を使ったデータ通信網も計画されている。

 回線の性能は伝送率(毎秒最大いくつのパルスまで送ることができるか)で示され、ビット毎秒bps)、またはほぼ等価的にボー(baud)という単位で表される。伝送率が高いほど、回線の周波数帯域を広くとる必要がある。

 データ通信を行うには、送信側と受信側で、ある決まった約束に従った信号のやりとりによって、相手の確認、送信要求、送信開始・終了、受信の確認などの手順を経ながらデータの伝送を行う。また送信するデータの内容も、データの種類や使用目的などを、送信側と受信側で確かめ合いながら受け渡しを行う。このために送信側と受信側で手順を示すための合いことばに相当する特殊な記号や符丁を決める必要がある。これをプロトコルという。プロトコルは、通信回線の運用に関係したハードウェアレベルの規約からデータの内容に関係したアプリケーションレベルの規約まで、いくつかの階層に分けて用意され、国際標準化が進められている。

[小野勝章・山本喜一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「データ通信」の意味・わかりやすい解説

データ通信
データつうしん
data communication

データ伝送。情報処理設備と通信回線による広域情報処理方式。中央の電子計算センターと,遠隔地に散在する端末装置が通信回線で結ばれ,各地の情報が敏速,正確に中央に伝送され,整理された結果は再び各地へ伝送される。一般の電信電話と違う点は,送られた情報が処理されること,送られる相手が機械 (多くはコンピュータ) であるため伝送の信頼度が高いことである。端末装置は,情報を符号に変える機器と,受けた結果を文字や数字に印刷する機器でできている。また電子計算センターでは,端末側と同様な伝送装置を使う方法 (オフライン) と,直接コンピュータに結ぶ方法 (オンライン) とがある。 JRの「みどりの窓口」や航空会社の座席予約システム,銀行の窓口業務,NTTの加入データ通信などに利用されている。

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