化学辞典 第2版 「L-チロシン」の解説
L-チロシン
チロシン
L-tyrosine
(S)-α-amino-4-hydroxybenzenepropanoic acid.C9H11NO3(181.19).略称TyrまたはY.β-(p-ヒドロキシフェニル)アラニンともいう.タンパク質構成アミノ酸として広く分布し,また遊離の状態で動物,植物体に含まれ,代謝してメラニン色素,ドーパ,あるいはアドレナリン,チロキシンなど重要な活性物質になる.工業的製法は劣るため,くずまゆの加水分解物から等電点沈殿法により分離される.微針状結晶.分解点342~344 ℃.-13.2°(3 mol L-1 水酸化ナトリウム),-11.6°(1 mol L-1 塩酸).pK1 2.17,pK2 9.04,pK3 10.14(25 ℃).水に難溶,アルカリに可溶,有機溶媒に不溶.紫外部に吸収極大があり,タンパク質中でトリプトファンとともに紫外部吸収の出る原因となる.タンパク質の呈するミロン反応,キサントプロテイン反応はチロシンの存在による.[CAS 60-18-4]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報