PS版(読み)ピーエスバン

化学辞典 第2版 「PS版」の解説

PS版
ピーエスバン
PS plate

pre-sensitized plateの略称.オフセット印刷の平板を作成するための感光材料.支持体上に感光層が塗布されており,露光,現像だけで容易に製版できる.支持体としてはアルミニウムが一般的であり,種々の電解研磨処理がほどこされたアルミニウム板上に,露光によって現像液への溶解性が大きく変化する感光層が塗布されている.ネガ型では露光部が光硬化で現像液に不溶となり,ポジ型では光分解で現像液に可溶となる.ネガ型の材料としては,光によって生じるラジカル,カチオンなどによって架橋するジアゾ樹脂などが用いられ,ポジ型にはキノンジアジドなどが用いられる.リスフィルムを通しての露光が一般的であったが,デジタルデータをレーザー光走査によって直接露光させること(CTPシステム,Computer to Plate)が行われるようになり,そのためのPS版が開発されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「PS版」の意味・わかりやすい解説

PS版
ピーエスばん

アルミニウムなど薄い金属板 (紙,プラスチックのものもある) に感光液を塗布,乾燥させ,すぐに焼付けられる状態になっている版材。ネガ用,ポジ用があり,平版用と凸版用とがある。感光層にはジアゾ系,アジド系,ニトロ系などを用いたものがあり,光の作用を受けると,それらの感光部分が薬品により溶解されたり,不溶解になったりする。簡単で,設備もあまり必要でなく,品質も安定しているので,広く普及している。フィルムから密着焼付けしないで,直接撮影できるものもあり,軽印刷などにも利用されている。

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世界大百科事典(旧版)内のPS版の言及

【写真】より

…写真製版には古くから重クロム酸塩の感光性を利用する重クロム酸卵白あるいはグルーが使われてきたが,この時代には材料の保存性が悪いため作業者がみずから製版用感光材料を準備しなければならなかった。1960年代になってジアゾ樹脂をアルミニウム板に塗布したPS版がオフセット印刷製版材料として開発され,重クロム酸塩の材料はしだいに姿を消した。また,光重合によって不溶化する感光性樹脂がアメリカのデュポン社によって凸版用材料として開発され,新聞印刷用の鉛版が感光性樹脂凸版に置きかえられるようになった。…

【平版】より

…写真製版の技術を応用して版をつくるいわゆる写真平版の場合は,画線は油脂色材による描画の代わりにコロイドの硬化層でつくられ,その表面に油脂があたえられる。写真平版の一種であるPS(pre‐sensitizedの略)版は,あらかじめメーカーにおいて感光膜を塗布して供給されるもので,光にあたって反応を起こすと,不溶性,あるいは親水性,または疎水性になる高分子を組み合わせて版を構成している。このほか,大量の印刷ができるものとして多層平版があり,これは油脂にぬれやすい金属(例えば銅)で画線を,水にぬれやすい金属(例えばクロム)で非画線を形成して,選択湿潤を合理化している。…

※「PS版」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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