現像液(読み)ゲンゾウエキ

デジタル大辞泉 「現像液」の意味・読み・例文・類語

げんぞう‐えき〔ゲンザウ‐〕【現像液】

フィルムなどの現像に用いる水溶液ハイドロキノンメトールフェニドンなどの現像主薬酸化を防ぐ保恒剤、現像促進剤、現像抑制剤などからなる混合溶液

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精選版 日本国語大辞典 「現像液」の意味・読み・例文・類語

げんぞう‐えきゲンザウ‥【現像液】

  1. 〘 名詞 〙 〘 名詞 〙 乾板、フィルム、焼付をした印画紙の現像に用いる溶液。感光したハロゲン化銀を銀に還元する働きを持つ。ハイドロキノン、メトール、フェニドンなどの現像主薬や、この液が空気中で酸化されるのを防ぐ保恒剤、現像促進剤、現像抑制剤などからなる混合溶液。黒化液。
    1. [初出の実例]「写し済みのフィルムは暗室に持ち込んで、現像液に漬けると」(出典:フィルム写真術(1920)〈高桑勝雄〉写真器はどんなものか・写真はどうして出来るか)

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化学辞典 第2版 「現像液」の解説

現像液
ゲンゾウエキ
developer

ハロゲン化銀写真潜像を,可視像に変換するために使用する溶液.物理現像化学現像,カラーフィルムのための発色現像用の現像液がある.黒白写真に実用される化学現像液は,
(1)還元性の有機化合物(メトールヒドロキノンフェニドンなど)よりなる現像主薬,
(2)現像主薬の空気酸化を防ぐ安定剤(亜硫酸ナトリウム,その他),
(3)アルカリ性を与える促進剤(炭酸ナトリウムホウ砂など),
(4)未感光部の還元を防ぐ抑制剤(臭化カリウム,その他),
そのほかの水溶液である.現像中心の部分を中心としてハロゲン化銀を銀に還元する速度を異にする2,3種類の現像主薬を共存させて,画質を制御することが多い.また,現像主薬の併用により,それぞれを単独で用いる場合よりも現像活性が高くなることがある(超加成性).主薬のもつ荷電数が1の場合(メトール),現像後の写真濃度は現像時間にほぼ比例するが,荷電数が2の場合(ヒドロキノン)は加速度的に現像される.したがって,前者軟調後者は硬調な画像を与える.発色現像では,現像主薬としてp-フェニレンジアミン系化合物が用いられる.特殊な現像液には,ハロゲン化銀溶解剤を加えた一浴現像定着液,自動現像機での迅速処理用の高温現像液などもある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「現像液」の意味・わかりやすい解説

現像液【げんぞうえき】

写真の現像を行うための薬液。一般には感光したハロゲン化銀粒子を銀に還元させる現像主薬(メトール,ヒドロキノン,フェニドン,ピロガロール,アミノフェノールなど),無効な主薬の酸化を防止する現像保恒剤(亜硫酸ナトリウムなど),現像促進剤(炭酸ナトリウム,ホウ砂など),カブリを防止する現像抑制剤(臭化カリウムなど),その他の添加剤などを溶媒に溶かして調製する。ネガフィルム現像用として最も一般的なD-76現像液の場合,温水750mlにp‐メチルアミノフェノール2g,無水亜硫酸ナトリウム100g,ヒドロキノン5g,ホウ砂2gを溶解し,水を加えて全体を1000mlとする。主薬としてメトールとヒドロキノンを使用したものをMQ現像液,フェニドンとヒドロキノンを使用したものをPQ現像液という。
→関連項目停止液

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世界大百科事典(旧版)内の現像液の言及

【現像】より

…撮影し,露光したフィルムや焼付け露光を終わった印画紙はそのままではまだ目に見える画像を作っていない。この状態ではフィルムや印画紙に潜像ができているので,潜像を化学的に還元する作用をもった現像液で処理することによって目に見える画像が現れる。この処理が現像である。…

※「現像液」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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