知恵蔵 「APIエコノミー」の解説
APIエコノミー
APIとは、コンピューター内のアプリケーションソフトや、ウェブ上のアプリケーションなどから、外部のアプリケーションを呼びだして、簡単に利用できるようにした機能や仕様を指す。APIが提供されていれば、IT企業などの担当者は、その部分を独自に開発する必要がなくなるため、プログラム開発を効率よく進めることができる。
APIエコノミーでは、公開されているAPIによって、異なるビジネスやサービスをつなぎ、それらをベースにした、新たなビジネスやサービスが提供される。身近なAPIエコノミーとしては、企業などのウェブページで、所在地を地図上に示す際によく利用される、「Google Maps API」があげられる。同APIを使えば、自前の地図を用意しなくても、所在地を正確に伝えられるだけでなく、Google Mapの機能を利用して、最寄り駅からの道のりや周辺情報まで表示させることができるといった利点がある。
また、配車サービスを展開するUber社は、2014年8月に、他社が配車のリクエストボタンを追加できる「Uber API」を公開した。「Uber」は、スマートフォンのアプリケーションで、ハイヤーを予約して利用できるサービスとして有名だが、例えば、ホテルのウェブページ上にUber APIを組み込むだけで、宿泊客はホテルのウェブページからUberの配車が可能となる。
APIエコノミーは、ITを駆使した金融サービス「FinTec(フィンテック)」と呼ばれる分野でも注目されている。日本を代表するFinTech企業「マネーフォワード」は、16年4月以降、NTTデータ社のインターネットバンキングサービス「AnserParaSOL」のAPIや、日本IBMが提供する「FinTech共通API」などを利用して、高いセキュリティを保持しつつ、金融機関各々のサービスを利用しなくても、マネーフォワードの機能上で、簡単に銀行口座の入出金明細や残高確認が行えるサービスを進めており、自社の家計簿アプリなどと連携させた新たなサービスを展開している。さらに、マネーフォワードでは、自社ソフトウエアのAPIも公開し、新たなサービスの創出を目指している。
ちなみに米IBM社は、APIエコノミーのグローバル市場規模が、2018年までに2.2兆ドルに拡大すると予測している。
(横田一輝 ICTディレクター/2018年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報