Hydra

ASCII.jpデジタル用語辞典 「Hydra」の解説

Hydra

機能が限定されたThin Client(非常に軽量・簡素なクライアントマシン)を利用し、TCOを低減させたシステムを構築するためのWindows NTシステムの開発コード名。Microsoftによって発表された。原理的には、Windows NTサーバーをマルチユーザー対応にして、各ユーザーごとのアプリケーションをすべてサーバーの内部で実行させ、その結果の(仮想的な)画面イメージをクライアント側に送信するという方式をとる。クライアント側では、送られてきた画面データの描画と、キーボード/マウス入力のイベントの送信程度しか行なわないので、わずか500ドル程度のシステムでも動作するとされている(CPUは386クラスでもよいし、PC/ATアーキテクチャーでなくてもかまわない)。X-Window端末に似ているように見えるが、Xの場合はサーバー側から送られてくる描画コマンドなどを解釈して実行するために、ある程度高速なCPUや大量のメモリーを必要とする。しかしHydraの場合は端末側ではほとんど何も処理をしないし、1画面分以上のグラフィックスメモリーも必要ない。ユーザーのアプリケーションはすべてサーバー側で実行されるし、一般にオンメモリーのグラフィックス操作ではアクセラレーターによる描画高速化機能が使えないので、サーバー側CPUにはかなりパワーが要求されるが(GUIをマルチユーザーで使うため)、逆にクライアントは非常に簡素・安価なものでよいというのがこのHydraシステムの特長である。クライアントへの画面データの送信にはTV会議システム用のプロトコルなどを使い、必要な部分だけを送信することによって、ネットワークトラフィックを抑えている。非常に高速でインタラクティブなグラフィック描画環境は望めないが、特定用途向け端末としてなら十分に機能する。

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