日本大百科全書(ニッポニカ) 「MSCマーク」の意味・わかりやすい解説
MSCマーク
えむえすしーまーく
水産資源や海洋環境を保護し、持続的な資源の利用に配慮して漁獲された水産物であることを示す認証表示。MSC認証、海のエコラベルともよばれる。国連食糧農業機関(FAO)の「海面漁業により漁獲された魚、および水産物のエコラベリングのためのガイドライン」に準拠した唯一の認証制度で、水産物の流通時にマークが添付される。消費者は該当する商品を購入することにより、間接的に海洋保全を支援することができる。MSCは1997年に世界自然保護基金(WWF)と世界的な日用品・食品メーカーのユニリーバによって設立された国際NPO法人Marine Stewardship Council(海洋管理協議会。本部はロンドン)の略称である。なお、養殖された水産物についての認証として、ASCマークがある。
MSCは、FAOの「責任ある漁業のための行動規範」に基づき、持続可能な漁業の原則と具体的な基準を作成した。原則は以下の3点に要約される。(1)過剰な漁獲を行わず、資源を枯渇させないような方法で行うこと。また資源が枯渇状況にある魚種については、その回復を可能にすることが明らかな方法でのみ漁業を行うこと。(2)海の生態系の構造、多様性、生産力を維持できる形で漁業を行うこと。(3)国際的または国内、地域的なルールに則し、また持続的な資源利用を義務づける制度や運営体制をもつ管理システムのもとで漁業を行うこと。これらの原則に基づき漁業者が受ける漁業認証と、流通や加工の際に非認証水産物が混在していないことを証明するCoC(chain of custody)認証の二つに合格して初めてMSCマークをつけることが認められる。認証の有効期間は5年で、継続には再審査が必要である。
2014年(平成26)4月時点で、日本で認証されている漁業は、京都府機船底曳網(そこびきあみ)漁業連合会のズワイガニとアカガレイ漁業、北海道漁業協同組合連合会のホタテガイ漁業の2件で、北海道漁連のシロサケ漁が審査中である。
[編集部]