オランダに本社を置く世界最大の食品・日用品メーカーで、イギリスにも同じ役員組織の別会社Unilever PLCをもつ多国籍企業。2008年の『フォーチュン』誌(アメリカの経済誌)のグローバル500社の企業ランキングでは第122位、食品関連ではネスレに次いで世界第2位である。
イギリスのウィリアム・H・リーバWilliam H. Lever(1851―1925。後のリーバヒューム卿(きょう))が弟のジェームズJamesとともに、1885年、リーバ・ブラザーズ社をおこし、良質のせっけんの製造および販売を開始した。「サンライト・ソープ」とよばれた1個包みのせっけんは、あらゆる階層にまで広く普及し、その後、ライフブイやラックスが爆発的に売れた。他方、オランダのバター商のアントン・ユーゲンス家は、1869年、フランスの化学者メージュ・ムーリエMège Mouriés(1817―80)の発明した新種の人造バター(マーガリン)の特許を買い取り、製品化に乗り出した。また、ユーゲンス家とはライバル関係にあったバン・デン・バーグ家もマーガリンの製造を開始した。せっけんとマーガリンはともに油脂からつくられることから、3社はそれぞれ、せっけん、マーガリンの分野で競合関係にたち、それを解消するため、まず1927年にバン・デン・バーグとユーゲンスとが合併して、オランダにマーガリン・ユニ社を、イギリスにはマーガリン・ユニオン社をそれぞれ設立した。1930年には、西アフリカに原料供給の基地を確保していたリーバ・ブラザーズ社と前記2社とが合併して、ユニリーバ社が誕生した。
第二次世界大戦後、総合食品会社として発展し、食肉加工品、冷凍食品、レストランなどに進出する一方、包装材料や油脂関連の化学品、飼料にまで多面的な事業展開を行った。紅茶のリプトン社も同社の関連会社であり、1984年にはブルックボンド・グループをも傘下に収めた。
1996年には不採算部門の切り離し、事業整理など、大規模なリストラクチャリングを開始した。翌1997年にはファイン・ケミカル(少量、高純度の化学製品)部門を担っていたナショナル・スターチ・アンド・ケミカルなど4社を、イギリスの総合化学会社ICIに売却した。さらに2000年6月、ブランド力の強化をねらって、スープの「クノール」など有名ブランドをもつアメリカの食品大手ベストフーズの買収を発表。同年10月に吸収・合併を完了させてユニリーバの食品部門と統合、食品とホーム・アンド・パーソナルケア(日用品)の2事業部組織に再編した。1999年時点で約1600あったブランドは、2001年には各市場で上位を占める400の優良ブランドに集中した。2008年現在、「ダヴ」(スキンケア、ヘアケア製品)、「クノール」、「リプトン」など13ブランドでそれぞれ10億ユーロ以上の売上げがあり、代表的25のブランドで全体の売上げの70%を占めている。
2008年現在、世界約100か国に関連会社と活動拠点を有し、270か所に製造拠点を置いている。同年の売上高は405億2300万ユーロに上り、利益は52億3000万ユーロである。内訳はスープ、スナック菓子、マーガリンなど食品関連35%、化粧品・シャンプーなどパーソナル・ケア製品28%、アイスクリーム・飲料19%、洗剤などホームケア製品18%となっている。地域別売上構成はヨーロッパ32%、アメリカ32%、アジア・アフリカ地域36%である。アジア、アフリカでの伸びが著しい。従業員数約17万4000人。
日本には1964年(昭和39)、豊年製油(現J-オイルミルズ)との合弁により豊年リーバを設立。1977年には日本リーバ・インダストリーズに改称、1982年に日本リーバ、2005年(平成17)にユニリーバ・ジャパンとなった。これが日本におけるリーバ・グループの中核となり、製品開発、販売、グループ全体の管理を担当している。関連会社にユニリーバ・ジャパン・ビバレッジ(1964年設立、紅茶など飲料の製造・販促)等がある。
[湯沢 威・上川孝夫]
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