NHK番組制作費着服事件(読み)NHKばんぐみせいさくひちゃくふくじけん/えぬえっちけーばんぐみせいさくひちゃくふくじけん

知恵蔵 の解説

NHK番組制作費着服事件

2004年7月に発覚した、NHKのチーフプロデューサーが巨額の番組制作費を着服していた事件。1996年から01年にかけて、大学の先輩が社長を務めるイベント企画会社に、業務の実態がないのに「番組構成料」などの名目で支出し、最大で半額返金(キックバック)させて飲み食いに使っていた。不正支出額は当初、1900万円と発表されたが、4800万円に修正された。その額の大きさだけでなく、日本の放送制度ではNHKだけに支払う仕組みになっている受信料が着服されたことが衝撃を広げた。しかも、不正の舞台は、看板番組「紅白歌合戦」も含まれていた。さらに、NHK内部で不正は3年前にわかっていたのに、放置していた。NHKは、チーフプロデューサーを懲戒免職にし、上司の芸能番組センター長らを解職するなどの処分をした。その後も、岡山放送局の放送部長が飲食費の名目で架空経費を請求して着服していたり、韓国のソウル支局長が業務の発注先への支払いに上乗せ請求して取材費に充てていたりと、NHKのずさんな経理体質が次々に明らかになった。

(隈元信一 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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