日本大百科全書(ニッポニカ) 「Shallweダンス?」の意味・わかりやすい解説
Shall we ダンス?
しゃるうぃだんす
日本映画。1996年(平成8)、周防正行(すおまさゆき)監督。サラリーマンの杉山(役所広司(やくしょこうじ)、1956― )は、帰宅途中の電車から、社交ダンス教室の窓辺に立つ女性、舞(草刈民代(くさかりたみよ)、1965― )を見かける。杉山は彼女を目当てにこの教室に通うが、社交ダンスの魅力に取り付かれていく。また、過去の挫折を引きずる舞も、杉山の真摯(しんし)な姿に心動かされて再出発を決意する。社交ダンスという世界に注目した本作は、主人公を初心者に設定することで巧みにこの世界を紹介することに成功している。また、社交ダンスのマイナー性の強調が本作の喜劇性を増加させている。さらに、ダンスによって生きがいをみつける主人公と彼の浮気を疑う妻とのすれ違いや、生活に追われ過労で倒れながらもダンスに情熱を傾ける女性というように、趣味と日常生活というものの連続性を描いている点も重要。国内のみならず海外でも興行的に成功し、2004年にピーター・チェルソムPeter Chelsom(1956― )監督によってリメイクされた。
[石塚洋史]
『佐藤忠男著『日本映画史3、4』増補版(2006・岩波書店)』