日本大百科全書(ニッポニカ) 「S&Pグローバル」の意味・わかりやすい解説
S&Pグローバル
えすあんどぴーぐろーばる
S & P Global Inc.
アメリカの金融・情報サービスの大手企業。信用格付け事業の「S & Pグローバル・レーティング(S & P Global Ratings)」、株価指数などを算出する「S & Pダウ・ジョーンズ・インデックス(S & P Dow Jones Indices)」、財務データ提供の「S & Pグローバル・マーケット・インテリジェンス(S & P Global Market Intelligence)」、国際商品市況や価格指標を提供する「S & Pグローバル・プラッツ(S & P Global Platts)」の4事業会社の親会社である。本社はニューヨーク。ニューヨーク証券取引所に上場している。
源流は金融アナリストのヘンリー・プアーHenry Varnum Poor(1812―1905)が1860年に創業した鉄道産業の投資情報を提供するプアー出版。プアー出版とスタンダード統計(1906年創業)が合併した信用格付け会社スタンダード & プアーズが1966年、出版・情報サービス大手マグロウヒル(1917年創業)に買収されたため、S & Pグローバルの前身企業はマグロウヒルで、創業年は1917年となっている。マグロウヒルはインターネットの普及に伴い出版事業などを売却し、2013年に社名をマグロウヒルファイナンシャルに変え、さらに2016年に現社名に変更した。
傘下のS & Pグローバル・レーティングは世界26か国に事務所をもち、125か国以上で債券などの金融商品、企業、政府・自治体などの格付け情報を提供する世界最大の格付け機関である。S & Pダウ・ジョーンズ・インデックスはシカゴ・マーカンタイル取引所グループとの合弁企業で、ダウ工業株30種平均やS & P500などの株価指数を算出している。S & Pグローバル・マーケット・インテリジェンスは財務データのほか、金融・産業界データ、関連ニュースなどを世界中の機関投資家に提供している。S & Pグローバル・プラッツは独立系商品情報の提供会社で、原油、天然ガス、電力、石炭・石油製品、金属、農産物などの産業ニュースや価格指標を世界に配信している。
S & Pグローバルは総売上高56億6100万ドル(2016)、従業員数約2万人(2016)。
[矢野 武 2017年12月12日]