コケビラメ(読み)こけびらめ(その他表記)branched ray flounder

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コケビラメ」の意味・わかりやすい解説

コケビラメ
こけびらめ / 苔鮃
branched ray flounder
[学] Citharoides macrolepidotus

硬骨魚綱カレイ目コケビラメ科に属する海水魚。太平洋側は駿河湾(するがわん)、日本海側は兵庫県以南、朝鮮半島沿岸、東シナ海を経てフィリピンに分布する。両眼は体の左側(背側を上に、腹側を下に置いて魚を見た場合)にある。口は大きくて、下眼の中央下付近まで開く。鱗(うろこ)は大きく、側線上に40~46枚ある。背びれと臀(しり)びれのすべての軟条は分枝する。体は灰褐色で、背びれと臀びれの基底後端にそれぞれ黒褐色斑(はん)があるのがこの種の特徴である。腹びれに1本の棘(きょく)があることで、普通のカレイ・ヒラメ類と異なる。内部骨格では原始的なボウズガレイとヒラメ・カレイ類との中間的特徴を示し、前者から後者への移行群と考えられる。本科には日本近海にもう1種ウロコガレイがいるが、目が体の右側にあるので区別できる。

 水深100~400メートルの砂泥底にすみ、底引網で漁獲される。体長25センチメートルぐらいになる。干魚にすると美味である。

[尼岡邦夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コケビラメ」の意味・わかりやすい解説

コケビラメ
Citharoides macrolepidotus

カレイ目コケビラメ科の海水魚。全長 30cm内外。体は長楕円形。両眼は体の左側にあり,大きくて互いに接し,上方の眼は頭の背縁に接近する。口は大きく斜位腹鰭には棘条がある。体色は有眼側が黄褐色で,背鰭と尻鰭の基底の後端部に黒褐色の斑紋が1対ある。ボウズガレイ類とヒラメ・カレイ類との中間的形質をもつ。水深 300~400mの海底にすむ。南日本,フィリピン,南アフリカに分布する。

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