張着(読み)はつき

改訂新版 世界大百科事典 「張着」の意味・わかりやすい解説

張着 (はつき)

室町時代ころから,宮廷に奉仕する身分の低い女性が,夏の衣料として用いた略装。その起りは薄衣(はくぎぬ)とよぶ,公家女装としての簡略な袿(うちき)形の衣服の変化したものと考えられる。張着の形体は今日実物資料が残っていないため明らかでないが,小袖形の衣服で,これを小袖の上に重ねて用い,あるいは上半身を脱いだ形で腰にまとって用いたものと思われる。後に武家の女装としてもこれが取り入れられ,腰巻または尻切(しきれ)といって,夏季殿中の正装として帷子(かたびら)の上に肩を脱いだ形で着用された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android