日本のような弧状列島には多くの火山が帯状に配列している。この火山帯の海溝側の縁を火山前線と呼ぶ。火山の分布密度は火山前線に沿って最も大きく,大陸側に行くほど小さくなる。よい例は東北日本で,脊梁山脈の中央部を火山前線が走るため,多くの火山がほぼ南北につらなって密集している。火山前線から海溝側には全く火山が存在しない。火山前線沿いの火山から噴出するマグマの組成は,火山前線より大陸側のものに比べてK,Rb,Ba,希土類,U,Thなどの元素に相対的に乏しい。これらの元素は大陸側に向かって規則的に増加する。このような関係は,海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んで弧状列島をつくるメカニズムと密接に関係していることはたしかである。しかし,火山前線に沿って大量のマグマが地下から上昇し多くの火山を生じるのに対し,海溝側では全くマグマの上昇がみられないのはなぜか,現在その原因はわかっていない。
執筆者:荒牧 重雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「火山フロント」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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